[I-PD02-4] Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia(CPVT)診療の実際
キーワード:CPVT, β遮断薬, 長期予後
CPVTは器質的心疾患を伴わない若年突然死の原因疾患として重要である。1978年Coumelらが初めて報告し、1995年Leenhardtらが患者21人の突然死が9.5%と報告した。2002年Prioriらによる報告後に病態解明が進み、現在ではRyR2遺伝子異常などによる細胞内カルシウム過負荷が不整脈発症機序と考えられている。β遮断薬(BB)やフレカイニドなどの薬物治療の進歩によって生命予後の改善が見られるものの、2016年Kawataらの全国調査では、RyR2変異のあるCPVT患者34人の平均7年の観察中に、21%が心肺停止・心室細動(VF)を経験しており、それらは運動や怠薬が主な誘因であったとしている。 当院で診療中のCPVT 患者13人について検討した。症状出現年齢平均6(2-11)歳、確定診断までの期間3(0.1-9)年、診断からの観察期間7(1.1-13)年、死亡なし。RyR2変異11/13(84%)、神経学的合併症8/13(62%):痙性麻痺1、発達障害7、抗てんかん薬4。全例運動動制限に加えてBB(Nadolol4・Propranolol4・Bisoplolol2・Carvedilol1・多剤2)とフレカイニド(平均投与量108mg/m2/d)の併用を行い、Verapamil併用2。心臓電気デバイスはペースメーカー1(頻拍停止後の長い洞停止)、ICD1(AEDでのVF停止)。治療開始後の運動や情動に関連した失神・前失神は5/13(38%)人/15エピソード認め、うち記録されたVFは2。主治医が頻拍によると判断した10エピソードは全て軽労作が誘因であり、怠薬に関連したものは3。また明らかなBBの副作用を3/13(23%)に認めた(頻尿2・気分変調1)。CPVTでは発達障害やてんかんの合併が多く、またBBを大量に服用していることも多いため、意識障害の原因診断は慎重に行うべきである。CPVT患者の突然死を防ぐには、長期にわたる服薬や運動制限のアドヒアランス維持が必須であるが、外来では患者と家族へ詳細な問診を行い、患者にあった生活指導や薬物治療を選択してQOL向上に努めることも重要である。