第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

カテーテルインターベンション

パネルディスカッション04(I-PD04)
カテーテルインターベンション「心房中隔欠損カテーテル治療の限界点」

2020年11月22日(日) 08:00 〜 10:00 Track6

座長:須田 憲治(久留米大学医学部 小児科)
座長:中川 直美(広島市立広島市民病院循環器 小児科)

[I-PD04-5] 心房中隔欠損症カテーテル治療前の経食道エコー検査の有用性と限界-手術症例からの考察

吉田 修一朗1, 佐藤 純1, 吉井 公浩1, 武田 紹1, 西川 浩1, 大橋 直樹1, 小坂井 基史2, 櫻井 寛久2, 野中 利通2, 櫻井 一2 (1.中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.中京病院 中京こどもハートセンター 心臓血管外科)

キーワード:心房中隔欠損症, カテーテル治療, 手術治療

【背景】当院では幼児期以降の心房中隔欠損症(ASD)例では、カテーテル治療(ASO)を考慮した場合は、事前に鎮静下で経食道エコー(TEE)を施行しASOの適否を判断している。【目的】手術症例の術中所見よりTEEによるASOの適否の再検討をおこない事前TEEの有用性、限界につき検討を行った。【方法】2011年3月から2019年12月までに当院でASDに対して事前にTEE施行された627例のうち、最終的に当院で手術治療をおこなった107例の手術記録とTEE所見につき後方視的に検討を行った。【結果】TEE施行時の年齢、体重、身長の中央値は、6(4-71)歳、20(12-78)kg、117(91-177)cmであった。事前TEEでASO適応(ボーダーライン例を含む)と判断され最終的に手術となった症例は14例あり、手術希望6例、ASO時に中止4例、ASO後房室ブロック1例、脱落1例、三尖弁との同時手術1例、金属アレルギー1例であった。一方手術記録より明らかなrim欠損がなくASOができた可能性があった症例は18例であった。それらのTEE評価は後下縁欠損10例、一次中隔と二次中隔のmalalignment(MA)7例、心房中隔瘤1例であった。【考察】手術記録からは事前のTEEで後下縁欠損、中隔のMAと診断した症例でASOができた可能性があった。TEEでは後下縁評価は困難なこともあり、rimが完全欠損ではないが乏しい症例では判断が難しいこともある。後下縁をより正確に評価するために心腔内エコー、その他のモダリティでの評価が有用であり、追加評価をおこなうことによりASO適応が増える可能性はある。中隔のMA症例は前縁が乏しい以外、手術所見を認めないが、実際にはデバイスの大きさや留置状態を考えるとカテーテル治療が困難なこともある。またMAの診断は経胸壁エコーでは難しく、事前にTEEで評価を行うことは有用と思われた。【結論】事前のTEE検査により後下縁評価は限界例もあるが、中隔MA評価には有用であり治療選択をより正確に行うことができる。