[I-PD04-6] バルサルバ洞側をフレア形態にしてFigulla Flex IIを留置した大動脈縁欠損を伴う心房中隔欠損患者の中期転帰
キーワード:心房中隔欠損, カテーテル治療, erosion
【背景】大動脈縁欠損の場合、Amplatzer閉鎖栓を用いた心房中隔欠損(ASD)閉鎖術はデバイス塞栓または心浸食の危険が高くなる。Figulla Flex II(FFII)を用いて、バルサルバ洞側をフレア形態にして留置する閉鎖法(本治療法)は、これらの合併症を回避する一手段と思われるが、その遠隔期の転帰は明らかではない。【目的】大動脈縁欠損ASDに対する本治療法の遠隔期転帰の検討。【方法】2016年2月から2019年4月に当科でFFIIを用いて本治療法を試みた、最小縁長1mm以下の大動脈縁欠損ASDの47症例(年齢6-73歳;体重17-75kg;女性31例)において、留置成功率(翌日迄閉鎖栓の回収等なし)、6-12ヶ月後の有効閉鎖率(残存短絡カラー幅2mm未満)、平均2.3年間の観察期間中に生じた合併症、留置直後から6ヶ月後のデバイス形態変化、ディスクの圧迫によるバルサルバ洞壁の変形に関して後方視的に検討した。有意p<0.05。【結果】47例中、広範囲大動脈縁欠損が33例、mal-aligned rimが18例。平均の最大ASD径;バルーンサイジング径;デバイス径はそれぞれ17.7±5.0;20.2±4.6;24.2±4.7 mm。留置成功率は100%。6-12ヶ月後有効閉鎖率は100%。合併症:留置直後に洞機能不全を認め、3mmサイズダウンで洞調律へ回復した症例が1例;一過性I°房室ブロックが1例;大腿動静脈瘻が1例。6ヶ月後のデバイス形態変化は、デバイスがバルサルバ洞に最接近する時相で、中央部の厚みは平均13.7から9.5mmへと有意に減少したが、バルサルバ洞側の両ディスクエッジ間距離は14.5から13.9mmへと不変で、フレア形態が維持された。バルサルバ洞壁の変形は留置直後13例、6ヶ月後28例に認められたが、26例はエッジ内面による圧迫であり、28例の壁の変形深度は0.5-1.5mmと軽微であった。【結論】大動脈縁欠損を伴うASDに対するバルサルバ洞側をフレア形態にしたFFII留置術は、伝道路障害に注意を要するが、その中期転帰は有効かつ安全と評価される。