The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長講演

会長講演(I-PL)
最良の血行動態を目指した先天性心疾患の三次元的再構築 -若手医師に捧ぐ-

Sun. Nov 22, 2020 12:40 PM - 1:30 PM Track1

座長:中村 譲(前 埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

[I-PL] 最良の血行動態を目指した先天性心疾患の三次元的再構築 -若手医師に捧ぐ-

山岸 正明 (京都府立医科大学小児医療センター 小児心臓血管外科)

Keywords:half-turned truncal switch手術, ePTFE pulmonary valved conduit, 会長講演

第56回日本小児循環器学会総会・学術集会会長講演の機会をいただいたことを会員諸氏に感謝申し上げます。先天性心疾患の専門医、特に外科医を目指す若手医師にとって参考となる講演が出来れば幸いです。 卒業後入局した東京女子医科大学日本心臓血圧研究所(心研)外科には「常に新しいことを考えろ!人まねをするな!」という創設者の榊原仟イズムが色濃く残っており、その教えがチャレンジを続けて来れた根源です。また心研資料室に残るKonno手術開発者である今野先生直筆の手術記録には激烈な感動を覚えるとともに新しい手術を開発することの素晴らしさを教えていただきました。 先天性心疾患の外科治療の醍醐味は何と言っても「奇形心を三次元的に造り変えて、新しい心臓を外科医の手で生み出す」ことにあります。心研標本室の心臓標本から学んだ経験をバックボーンとして流体力学的に理想的な形態を造るということを念頭に、自己組織を最大限に生かした手術方法を考案して来ました。なかでも流出路が交差するcrisscross heart 心標本を見直している際に、AoとPAを入れ替えるという着想したのがhalf-turned truncal switch手術です。 また東京慈恵会医科大学時代に始めたePTFE肺動脈弁の研究はfan-shaped ePTFE valve, ePTFE conduit with bulging sinusという形で国内65施設で使用していただき(2020年2月現在 1941例)、その成績を元に製品化の一歩手前まで来ています。これらの手術やvalve開発の経緯の話をさせていただきたいと思います。 小児心臓外科医は決して平坦な道ではありませんが、重症手術をやり終えた時には外科医だけが味わえる感動を味わうことが出来ます。一人の心臓病児を助けることにより、その後の幾世代にもわたる延々とした生命を繋ぐ大きな役割ができるというのが、小児心臓外科医の使命であり喜びです。是非、若手医師にもチャレンジしていただきたいと希望しております。