[I-PMDA-5] 小児医療機器に関する医療機関へのアンケート調査
Keywords:小児医療機器, デバイスラグ, 医療機器開発
【背景】本研究班は、小児医療機器の日米共同開発における課題の抽出と解決策の提言を目指して活動を行っている。【目的】現在日本で使用可能な小児に対する治療用医療機器(診断用医療機器は含めない)について医療者側が認識している問題点を抽出すること。【方法】日本小児循環器学会評議員 327名を対象として、2019年10~11月にWebアンケート調査(39項目の選択式、無記名)を実施した。【結果】154名(47.1%)より回答があった。3/4が小児循環器内科医、1/4が小児心臓血管外科医で、大多数が診療経験年数20年以上であった。現在日本で使用可能な小児に対する治療用医療機器に約70%が不満を持っており、「海外で使用できる医療機器が日本で使用できない」、「種類、サイズが少ない」、「適用外使用」がその主な理由であった。医療機器開発において障害度が大きいものとして、「疾患の希少性・複雑性」、「様々なサイズ・体の成長」、次いで「企業の収益性の欠如」、「開発に要するコスト」、「開発・審査に要する時間」、「国の規制」が挙げられた。診療現場からの要望としては、学会に対して「企業や国との橋渡し」、「情報提供」、企業に対して「小児医療機器開発への意欲」、「費用負担」、国に対して「小児医療機器の保険点数加算」、「規制緩和」がそれぞれ多数を占めていた。【考察】現在日本で使用可能な小児医療機器に対して、回答者の多くが不満を感じており、開発が遅れることで特に治療選択が制限されることが危惧されていた。小児医療機器に関して、新規承認、適応拡大の両面で迅速化が求められた。企業からの協力を得るためにも、承認プロセスの簡素化、低コスト化が必要と考えられた。【結論】小児に対する治療用医療機器について医療者側が認識している問題点が改めて確認された。今後、企業側の課題抽出のための調査も進め、提言につなげたい。