The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

働き方改革セッション

シンポジウム01(I-S01)
働き方改革「私たちはどのように働くべきか」

Sun. Nov 22, 2020 8:00 AM - 9:00 AM Track1

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院)
座長:岩本 眞理(済生会横浜市東部病院こどもセンター 総合小児科)

[I-S01-3] 新生児医療の将来ビジョン策定における日本周産期新生児医学会と日本新生児成育医学会の取り組み

高橋 尚人 (東京大学 医学部 小児科)

Keywords:専攻医採用シーリング, 働き方改革, 時間外労働時間

NICU医療は最も過酷な医療現場の一つとされている。それでも2004年の日本周産期・新生児医学会の専門医制度設立から2020年までに938名の周産期専門医(新生児)が誕生している。厚労省は現在小児科医が不足しているとは考えておらず、将来の小児人口減少を勘案し、小児科医の養成を抑制する方向で、すでに複数の都府県で専攻医採用シーリングが課せられている。また厚労省は小児科サブスペ領域間の医師偏在について特段の配慮をしていない。一方、2024年には医師の時間外労働時間の上限規制が施行され、A水準で年間960時間、B水準で1860時間以内に抑える必要がある。このような状況から、新生児医の労働環境調査が必要とされ、2017年に新生児成育医学会は新生児医療施設259に対してアンケート調査を行った。133施設、813名の医師から回答があり、NICU当直の回数は月6回が多いが、北海道・東北地方では10回以上の医師も存在し、時間外労働時間については月120時間が最多だったが、160時間以上も17%存在し、北海道・東北と中国・四国地方で多かった。一方、周産期専門医の研修施設認定には年間10例以上の超低出生体重児入院などの要件が課されているが、今後要件を満たせない施設が出てくると予想され、専門医の研修制度も再構築が必要となって来ている。そこで、新生児成育医学会は将来ビジョン策定のためにさらに詳細な調査を行うこととし、2019年から2020年7月にかけて、周産期医療圏における施設構成と状況および医師の勤務実態の調査を行った。現在、その回答を集計中である。今後は、厚労省に対して小児科医削減方針の緩和とサブスペ領域偏在の調整を求めて行く必要がある。また都道府県レベルを超えた地域間連携も考慮し、さらに各都道府県においても一層の集約化と施設役割分担による効率化を図る必要があると考えている。