[I-S02-1] 【基調講演】Pediatric PH on 6th WSPH2018のポイント
キーワード:CCB, Down症候群, Reversed Potts shunt
本シンポジウムの基調講演として、6th WSPH2018を振り返ることとする。 成人PHの定義変更に合わせる形で、小児PHの定義をmPAP>20mmHgとしたのは、血圧の低い小児ではむしろ好ましいが、成人での基準PVR≧3WUを用いることは妥当では無く、小児ではあくまでもPVRi≧2~3WU・m2を用いるべきと考える。 6th WSPH2018の小児PHのポイントは以下の4点と考えられる。 第1に小児IPAH/HPAHにおいても、AVT responderにはCCBの投与を推奨したことである。この際のAVTには吸入一酸化窒素を用いるのが鑑別に容易で、臨床症状としては血管攣縮が非常に強いことを念頭に置く必要がある。 第2に小児で多いcomplex CHDを5群として分類したことである。以前より提唱されていたPulmonary Hypertensive Vascular Disease (PHVD)の概念を取り入れ、single ventricle/Fontan circulationをPHの分類に含めたことは意義が深い。 第3に小児特有の病態であるBPDやCDHなどのDevelopmental Lung Disordersを3群として分類し、中でもDown症候群を1つのphenotypeとして取り上げ、多くの因子がPH発症に関与していることを浮き彫りにした。 第4にIPAH/HPAHの肺移植までの姑息bridgesとして、Reversed Potts shuntを提案したことである。成績の芳しくない肺移植へのタイミングやdonorの獲得が難しいこともあり、後負荷軽減による右心機能の改善と心拍出量の保持が可能となる。ASD creationに比し効果は期待され、今後は適応の拡大も検討の余地があるように思われる。 以上のポイントに付け加えて、今後わたしたちがなすべき道標を示してくれている。