[I-S02-2] Treatment response and prognosis of pulmonary arterial hypertension with coincidental congenital heart disease
キーワード:肺高血圧, coincidental, 先天性心疾患
<背景>Coincidental congenital heart disease(Co-CHD)に伴う肺動脈性肺高血圧(PAH)の病態は特発性PAHに似るが、臨床像や肺血管拡張薬への治療反応性、予後については十分報告されていない。<目的>小児および若年成人期に発症したCo-CHDを伴うPAHの臨床像や治療反応性および予後を、特発性PAHと比較検討した。<方法>Co-CHD PAHの11例と、特発性PAHの50例の臨床データを後方視的に検討した。Co-CHDは、simple CHDを伴いPAH発症以前に高肺血流による臨床症状や検査所見がない症例であり、post-operative PAH症例は除外した。治療反応性は診断時と治療1年目の血行動態の変化で検討した。<結果>Co-CHDはASD(7例)、VSD(3例)、PDA(1例)であり、全例女性であった。CHDを指摘された年齢は生後3ヶ月(1ヶ月-20歳)、PAH発症年齢は9歳(2-20歳)であり、治療開始時の肺血行動態は、平均PA圧が69 mmHg(49-100mmHg)、肺血管抵抗値が26.5 Wood・m2(9.5-45.4 Wood・m2)、心係数が3.0 l/min/m2(2.1-3.8 l/min/m2)であり、特発性PAH(男女比 26:24、発症年齢 9歳 (2-17歳))と同等であった。肺血管拡張薬は、epoprostenolが5例、PDE5阻害薬が8例、エンドセリン受容体拮抗薬が7例で、combination therapyを受けていたのが8例(73%)であった。初回カテ-テルにおける急性血管拡張能試験で反応例は認めず、治療開始1年目の血行動態では、平均PA圧、肺血管抵抗値、心係数は有意な改善を認めなかった(中央値:76 vs 78 mmHg、26.7 vs 27.9 Wood・m2、3.1 vs 3.3 l/min/m2)。治療開始から13年(3-19年)の経過観察中に、4例(36%)が死亡、3例(27%)が肺移植(待機中を含む)を受けており、特発性PAHに比して移植を回避した生存率は低かった(37% vs 82%、p=0.04)。<結論>Co-CHDを伴うPAHは発症時の血行動態は特発性PAHと同等であるが、肺血管拡張薬への反応性は低く、生命予後は不良であった。