[I-S02-4] 周産期障害と肺発達成長障害に関連する小児肺高血圧の臨床像
Keywords:肺高血圧, 新生児, 気管支肺炎異形成
肺高血圧(PH)は、WHO臨床分類では、PHの機序により大きく5群に分けられるが、小児のPHでは、周産期の障害、肺の発達成長障害、および肺低形成の重要性が強調されている。これらに含まれる小児PHの基礎疾患として、気管支肺異形成(BPD)、先天性横隔膜ヘルニア(CDH)、ダウン症候群などの染色体異常が挙げられる。当院でのフォローアップ例の臨床像を提示し、課題を検討する。方法:BPD、CDHに伴うPH例、特異なPHを呈する左右シャント疾患例について臨床所見を検討する。結果: BPD-PH児では、気道感染、閉塞性睡眠時無呼吸などにより、乳児期早期にPH急性増悪をきたした。学童期以降の遠隔期には無症状例でも平均肺動脈圧20-25mmHgの軽度PHを認めた。CDH-PHでは、重症例において急性期PHに対してNO吸入に加え、epoprostenol、PDE5阻害剤、Iloprost吸入を用い管理し、遠隔期では、呼吸器病変による急性増悪を認めた。無症状で肺動脈圧の上昇のない例でも、患側肺の血管低形成を認め、健側肺の血管閉塞により肺動脈圧は著明に上昇した。両方の疾患群で、PDE5阻害剤を中心に治療された。特異なPHを呈する左右シャント疾患例では、肺組織上、肺胞の構造異常の合併が高頻度に認められた、術後も20<mPAP<25mmHgの軽度肺高血圧が持続した。考察:小児PHの原因として、BPDやCDHなどの肺疾患は先天性心疾患に次ぐ頻度であり10%以上を占める。最近、早産児では学童期から成人期にも平均肺動脈圧が高いことなど、成人期にも肺循環障害が持続することが相次いて報告されている。CDHにおいては、肺血管の左右アンバランスは成人期まで持続する可能性がある。今後、成人PH領域においても、これらの疾患群の意義が問われる可能性があると考えた。