シンポジウム02（I-S02）
肺循環「6th World Symposium on PH 2018を、どう解釈し、どう活かすべきか？」

[I-S02-5] “肺動脈性”肺高血圧症の境界線は、私達が想像していた以上に曖昧である ―PAH with overt features of PVOD/PCH involvement―

^○永井 礼子^1,2, 佐藤 逸美¹, 白石 真大¹, 佐々木 大輔¹, 泉 岳¹, 山澤 弘州¹, 武田 充人¹ (1.北海道大学小児科, 2.東京女子医科大学循環器小児・成人先天性心疾患科)

Keywords:肺動脈性肺高血圧症, 肺静脈閉塞性疾患/肺毛細血管腫症, 肺血管拡張剤

2018年に開催された6th World Symposium on Pulmonary Hypertension (6th WSPH)において、肺動脈性肺高血圧症（pulmonary arterial hypertension; PAH）の分類にもいくつかの改訂がなされた。1’群とされていた肺静脈閉塞性疾患pulmonary veno-occlusive disease: PVOD/肺毛細血管腫症pulmonary capillary haemangiomatosis: PCH「PVOD/PCH」については1.6群「PAH with overt features of venous/capillaries(PVOD/PCH) involvement」、すなわち「PVOD/PCH の明確な特徴を有するPAH」と修正された。これにより“肺動脈性”肺高血圧症が、肺毛細血管病変や肺静脈病変による肺高血圧症とオーバーラップすることが明確となったと言える。そしてこれらの病態の重複によって、肺血管拡張剤が無効な（もしくは有害な）重症PAHの病態を説明できる可能性がある。しかしながら、各種のPAHにPVOD/PCHが合併しているのかどうかを見極めるのは、特に小児では非常に困難である。本講演では実際に「PAH with overt features of venous/capillaries(PVOD/PCH) involvement」が疑われた小児例とその臨床経過、肺病理像等についてお話した上で、この病態への対応を提案したいと考えている。