[I-S02-6] Complex congenital heart disease in Group 5 PH
キーワード:肺高血圧, フォンタン, 肺血管拡張薬
ニース分類5群に属するPHは、「PH with unclear and / or multifocal mechanisms」定義され、この中にcomplex congenital heart diseaseが分類されている。これに該当する疾患は主にFontan candidateと、主要体肺側副血管を伴うファロー四徴・肺動脈閉鎖である。今回Fontan candidate/Fontan後の患者の肺血管拡張薬の使用について検討した。 フォンタン患者に対しての肺血管拡張薬の使用は様々な報告がなされており、一部は有効性が示唆されている。これらを踏まえ当科で2003年(Bosentan販売開始)以後にカテーテル検査を行い、フォンタンに到達している371例について解析した。54例(14%)で肺血管拡張薬の使用歴が有り、317例は使用していない。肺血管拡張薬使用例は有意に年齢層が低年齢であった。肺血管拡張薬使用例では最終テーテル検査時のCVP(10.8±4.6 vs 9.2±3.3mmHg)・CI(3.61±0.12 vs 2.85±0.05 L/min/m2)が高値であった。PVRI(1.38±0.08 vs 1.29±0.03Wood単位・m2)には差が無く、SVRが有意に低いためPVR/SVRは有意に高い値(0.081±0.004 vs 0.053±0.003)であった。使用例の年齢層が低いことによる影響も考えられるが、よりコンディションの悪い症例に投与されているとも考えられた。PVRの高い症例で有効と感じられた症例もあったが、failed Fontan症例では低いSVRが更に低下することで病態を悪化させており、投与を中止した。 我々の検討ではフォンタン循環に対する肺血管拡張薬は、一概によいと言える状況にない。一部の限られた、肺血管抵抗の高い症例で副作用に留意しつつ使用すべき状況と思われる。