[I-S02-8] 小児3群肺高血圧症に対する治療内容と効果の検討
Keywords:肺高血圧症, 横隔膜ヘルニア, 慢性肺疾患
【背景】肺高血圧症において、2018年のWorld Symposiumでは、小児のタスクフォースによって3群すなわち呼吸器疾患に関連する肺高血圧症(以下PH)としてdevelopmental lung disordersが初めて詳細に記載された。しかしながら小児における3群PH の治療に関してまとまった報告は少ない。【目的・方法】小児の3群PHに対する治療とその効果を明らかにするために、2009年1月から2019年12月において当院で治療を行った横隔膜ヘルニア(以下CDH)または慢性肺疾患(以下CLD)の症例を対象とした。染色体異常を有する症例、PH以外の原因で経過中に死亡した例を除く19例について両群の治療内容、治療期間、予後を比較検討した。【結果】CDH群14例、CLD群5例について解析を行った。CDH群、CLD群それぞれの中央値は、在胎週数は37週4日、25週2日(P<.05)、出生体重は2631g、670g(P<.05)、Apgar1分値 4点、4点(P=0.74)、Apgar5分値 4点、7点(P<.05)であった。投薬はCDH群でエンドセリン拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、ベラプロストの3剤併用4例、2剤併用3例、単剤8例、CLD群で、3剤併用3例、2剤併用2例、単剤1例とCLD群で多剤併用が多い傾向があった。1歳を超えた症例のうち、生後1年で無治療になったのはCDH群12例中4例、CLD群4例中0例(P=0.51)、経過観察中に投薬を終了できた症例における投薬期間はCDH群で312日(IQR 124日、418日)、CLD群で1177日(IQR 821日、1185日)であった(P=0.11)。【結語】小児3群PHにおいては、治療によって投薬を中止しうる症例があることが成人と大きく異なる点であることが明らかとなった。またCDH群に対してCLD群の方が長期の投薬期間を要する傾向があった。小児の3群PHは成人とは基礎疾患・臨床像が異なっており、症例の集積を経て、適切な治療戦略を確立する必要がある。