The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

新しい手術方法の開発

シンポジウム03(I-S03)
新しい手術方法の開発「治療から再生へー再生医療の進歩」

Sun. Nov 22, 2020 8:00 AM - 9:30 AM Track3

座長:笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
座長:上野 高義(大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)

[I-S03-2] 小児心不全に対する再生医療のUpdate

平井 健太1, 大月 審一1, 馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 栄徳 隆裕1, 福嶋 遥佑1, 重光 祐輔1, 原 真祐子1, 笠原 真悟2, 王 英正3 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学病院 心臓血管外科, 3.岡山大学病院 新医療研究開発センター 再生医療部)

Keywords:再生医療, 拡張型心筋症, 細胞移植

心臓内幹細胞(CDCs)移植は、欧米では心筋梗塞、筋ジストロフィー、肺高血圧症などの成人症例で臨床試験が多数報告されている。当院では2011~2015年にかけて小児単心室症に対するCDCs移植の第1/2相臨床研究を計48症例に対して行い、世界に先駆けて移植に伴う安全性や心機能の向上、特に心機能不良群での予後改善効果を確認してきた。一方、小児拡張型心筋症(DCM)に対するCDCsの効果は不明であり、かつ再現性が高く臨床病態像を反映した大型動物のDCMモデルの報告もされていない。
我々はびまん性冠動脈微小塞栓による新規ブタDCMモデルを開発し、CDCs移植による心機能改善、線維化抑制効果を発揮する有効細胞投与量を決定した。また冠血流を遮断せずCDCs移植を行うことで、有効性を保ちつつ移植に伴うリスクを低減しうることを見出した。Exosome分泌抑制物質を使用したCDCsをブタに移植すると同様の治療効果を示さないことから、CDCsが分泌するExosomeを介して内在性心血管細胞の自己修復機能を再活性化させることで、心筋線維化領域の縮小と心機能の向上に寄与することが示唆された。
一連の前臨床研究成果を踏まえ、2017年より小児DCMに対するCDCs移植の第1相臨床研究(TICAP-DCM試験)を開始した。計5症例で微量の心筋生検組織から培養したCDCsを自家移植し、安全性や有効性を確認した。治癒機序として、移植するCDCsより分泌されるExosomeに含まれる特定のmicroRNAの発現量と細胞移植後の線維化抑制度との間に有意な相関関係があり、ヒト心筋培養細胞のmicroRNA過剰発現実験では有意な抗炎症や細胞死抑制作用を認めた。
本講演では、ブタDCMモデルによる前臨床試験から小児DCMの第1相臨床研究へと繋ぐCDCs移植の標準治療化を目指したトランスレーショナルリサーチの概要や小児心不全に対する再生医療の新たな臨床ステージとしてのExosomeやmicroRNAを用いたcell free therapyの可能性につき、最新情報を含めて紹介する。