[I-S03-3] In Vivo Tissue-Engineered Vascular Graftを用いた肺動脈形成術の中期成績
Keywords:先天性心疾患, 外科治療, 再生医療
【目的】我々は生体内組織形成技術に基づき作成した、in vivo tissue-engineered vascular graft (in vivo-TEVG)を、小児の主要体肺側副動脈(MAPCA)症例の肺動脈(PA)形成に応用してきた。今回in vivo-TEVGによるPA形成の中期成績について検討する。【方法・対象】MAPCA症例の初回姑息術時にシリコンチューブ製の鋳型を皮下組織に埋め込み、待機期間を利用しin vivo-TEVGを作成。次回手術時に摘出、in vivo-TEVGをパッチとし、PA形成に使用。術後造影CTで、PA形態を評価した。2014年7月から2020年1月に、in vivo-TEVG によるPA形成を行なったMAPCA症例4例を対象とした。またうち2例は、使用したin vivo-TEVGの余った組織片を用い、組織学的評価および力学的特性を評価した。【結果】in vivo-TEVG鋳型埋め込み時の年齢、体重の中央値はそれぞれ1.5歳(1-4歳)、8.7kg(中央値7.3-15.4kg)。男児2例、女児2例。いずれもunifocalization(UF)後の吻合部狭窄部の拡大に対してin vivo-TEVGを使用しPA形成術を施行。段階的手術時に2例でin vivo-TEVGによるPA拡大形成術施行。うち1例で直後のCT瘤化・再狭窄なし。もう1例で術後気管支の圧迫による再狭窄(術後6ヵ月)を認め、再度in vivo-TEVGによるPA形成術を施行、術後狭窄なし。根治術時に2例でin vivo-TEVGによるPA形成術施行。2例(術後6ヵ月、4年)とも瘤化・再狭窄なし。組織学的評価ではin vivo-TEVGの表面は平滑、主にコラーゲン線維とわずかな線維芽細胞で構成され、弾性線維や平滑筋細胞は認めず。壁厚は平均200μmであった。力学的特性は縫合糸保持強度は平均2.26N、破裂圧力は平均3057mmHg。【考察】周囲組織の圧迫による再狭窄例を1例認めたが、in vivo-TEVGによるPA形成術の中期成績は良好であった。in vivo-TEVGは力学的特性からも肺動脈形成に安全に使用できることが示された。多段階手術が必要となる先天性心疾患において、in vivo-TEVGは自己心膜の代替組織となりうる。