The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

新しい手術方法の開発

シンポジウム03(I-S03)
新しい手術方法の開発「治療から再生へー再生医療の進歩」

Sun. Nov 22, 2020 8:00 AM - 9:30 AM Track3

座長:笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
座長:上野 高義(大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)

[I-S03-5] トランスレーショナルリサーチとしての心筋再生医療研究

馬場 志郎 (京都大学大学院医学研究科 発生発達医学講座 発達小児科学)

Keywords:心筋再生, 再生医療, トランスレーショナルリサーチ

心筋再生医療は心不全に対する細胞移植療法に端を発し、現在 各疾患病態研究や創薬開発に発展している。これら研究は日進月歩であり、臨床応用へはあと一歩のところまで到達したが、実際 臨床応用には未だ超えるべき問題がある。我々の研究室では、胚性幹細胞(ES細胞)、精巣幹細胞(mGS細胞)、人工万能細胞(iPS細胞)を使用し一貫して臨床応用につながる基礎研究を継続してきた。今回、その結果の一部と今後の発展について発表する。 研究室立ち上げ当初、ES細胞を用いた心筋細胞分化と移植による心筋症改善について心筋症モデルマウスを用いた実験で証明した。mGS細胞を使用した実験においても、分化心筋細胞を心筋梗塞モデルマウスに移植することで心機能改善を証明した。このin vitroの心筋分化は、マウスES, iPS細胞ではヒストン脱アセチル化酵素阻害によってより効率的に分化することが判明し、有効な細胞治療について報告した。心筋分化だけでなく、心筋症の心不全発症機序についても、マウス心筋細胞を用いた実験ではミトコンドリア機能の抑制によって起こることが証明され、心不全の発症の初期から治療介入が可能である可能性を示唆した。近年は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーiPS細胞を用いた心不全発症・進展機序を細胞内カルシウム変化やオートファジー含めた細胞死の研究で臨床応用に近づく治療法開発を行っている。同様に家族性心筋症発症家系から得たiPS細胞の研究も行っており、遺伝子異常が心筋分化初期段階から影響を及ぼしている可能性について証明しつつある。それとは別に致死性遺伝性不整脈疾患であるQT延長症候群iPS細胞を用いた新規検査方法の開発にも成功し、本疾患の診断方法を補助できる新しいプロトコルを作成中である。