[I-S04-3] 心筋細胞発生研究と臨床
Keywords:多能性幹細胞, 心筋分化, 再生医療
1998年にJames Thomson博士(ウイスコンシン大学)らによりヒト胚性幹(ES)細胞の樹立の報告につづき、2006年には山中伸弥博士(京都大学)らによって人工多能性幹(iPS)細胞が報告されて以来、再生医療、疾患研究モデルの確立および創薬に、多能性幹細胞(ES/iPS)を応用し役立てることが大きく期待され、精力的な研究と挑戦が行われてきた。特に、令和2年はiPS細胞由来の心筋シートを用いた重症心不全に対する再生医療元年となり、多能性幹細胞から心臓を構成する細胞を生み出す技術とその応用に関し、成人先天性心疾患の治療への応用も期待されるところである。このような現在の潮流を踏まえ、私たちの研究グループのオリジナルのデータを交えながら、心臓の発生に関する最新の基礎科学的知見を軸に、成人先天性心疾患における発生生物学的な視点からの問題提起、多能性幹細胞から心臓を構成する細胞を生み出す方法論の現状と応用に向けた今後の課題に関し、広く議論を展開したい。