The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

シンポジウム

分子医学・再生医療・心臓血管発生

シンポジウム04(I-S04)
分子医学・再生医療・心臓血管発生「先天性心疾患の理解・治療・予防につなげる臨床心臓発生学」

Sun. Nov 22, 2020 8:00 AM - 10:00 AM Track7

座長:横山 詩子(東京医科大学 細胞生理学分野)
座長:古道 一樹(慶應義塾大学医学部 小児科)
座長:山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部 小児科)※I-S04-1基調講演担当

[I-S04-4] Fibulin-1は内膜肥厚部で細胞外基質を統合し、動脈管の解剖学的閉鎖を促進する

伊藤 智子1, 中川路 太一1,2, 齋藤 純一1, 二町 尚樹1, 益田 宗孝1,2, 麻生 俊英3, 石川 義弘1, 横山 詩子1,4 (1.横浜市立大学 循環制御医学, 2.横浜市立大学 外科治療学, 3.神奈川こども医療センター 心臓血管外科, 4.東京医科大学 細胞生理学)

Keywords:Fibulin-1, 動脈管, 内膜肥厚

【背景】動脈管内膜肥厚は複数の細胞外基質と中膜より遊走する平滑筋細胞からなる。細胞外基質同士が相互作用し、平滑筋細胞の内皮細胞に向けた一方向性細胞遊走を誘導し内膜肥厚を形成する機序は解明されていない。Fibulin-1は様々な細胞外基質と結合し、発生段階で組織形成に関与する。動脈管閉鎖におけるfibulin-1の役割を検討した。【方法と結果】免疫染色でfibulin-1欠損マウス動脈管は内膜肥厚が弱く7匹全例が開存していた。胎生21日目ラット動脈管初代平滑筋培養細胞(rDASMCs)のマイクロアレイ解析でEP4刺激で最も発現が増加した遺伝子はFbln1だった(28倍)。ラット動脈管FACS解析で、fibulin-1は平滑筋、versicanは内皮由来だった。Versicanはfibulin-1結合蛋白で細胞遊走に関与する。そこでfibulin-1とversicanに着目し、DASMCの内皮に向かう一方向性遊走を、シリコン製インサート内にrDASMCsとヒト内皮細胞を同一平面上で培養し評価した所、rDASMCsはEP4刺激後に内皮細胞方向へ著明に遊走した。siRNAを用いて平滑筋細胞のfibulin-1又は内皮細胞のversicanの発現を抑制すると、rDASMCsの内皮細胞への方向性を持った遊走は抑制された(n=6-12, p<0.001)。免疫染色で、fibulin-1とversican V0/V1 は野性型新生児マウスの動脈管内膜肥厚部に共局在し、versicanのヒアルロン酸結合部位変異マウス新生児の30%が動脈管開存症だった。EP4欠損マウス新生児ではfibulin-1の発現が著明に抑制され全例動脈管開存症だったが、fibulin-1リコンビナント蛋白を添加すると内膜肥厚がレスキューされた(n=8-10, p<0.01)。ヒト動脈管組織でもfibulin-1とversicanは同様の発現を示した。【結語】PGE2-EP4 刺激で平滑筋細胞より分泌されるFibulin-1 は、内皮細胞由来のversicanと、versican結合蛋白であるヒアルロン酸と複合体を形成し、内皮下に平滑筋細胞を一方向性に遊走させ、秩序正しく内膜肥厚形成を誘導する可能性が示された。