The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

分子医学・再生医療・心臓血管発生

シンポジウム04(I-S04)
分子医学・再生医療・心臓血管発生「先天性心疾患の理解・治療・予防につなげる臨床心臓発生学」

Sun. Nov 22, 2020 8:00 AM - 10:00 AM Track7

座長:横山 詩子(東京医科大学 細胞生理学分野)
座長:古道 一樹(慶應義塾大学医学部 小児科)
座長:山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部 小児科)※I-S04-1基調講演担当

[I-S04-6] TMEM260遺伝子異常を認めた総動脈幹症(Truncus arteriosus:TA)の同胞例

高瀬 隆太1, 清松 光貴1, 井上 忠1, 前田 靖人1, 鍵山 慶之1, 財満 康之2, 籠手田 雄介1, 庄嶋 賢弘2, 渡邊 順子1, 吉浦 考一郎3, 須田 憲治1 (1.久留米大学 医学部 小児科学教室, 2.久留米大学 医学部 外科学講座, 3.長崎大学 原爆後障害医療研究所 人類遺伝学研究分野)

Keywords:総動脈幹症, 遺伝子診断, エキソームシークエンス

【要旨】総動脈幹症(TA)は総動脈幹が上行大動脈と第6弓中枢部を含む肺動脈とに分離されずに中隔形成のないまま経過したもので、全先天性心疾患の0.7~0.82%と非常に稀な疾患である。先天性心疾患のうち遺伝子異常や環境要因などの原因が単一で明らかな症例は約15%とされ、残りの約85%は多因子遺伝と考えられている。今回、エキソームシーケンスにて責任遺伝子を同定できたTAの同胞例を経験したので報告する。【症例】家族歴に特記すべきことなく、近親婚ではない。発端者は、自然妊娠成立後、近医産婦人科にて胎児心疾患の指摘なく、在胎39週5日、自然分娩で第2子として出生した。日齢1にチアノーゼ及び心雑音を指摘され、TA(Collett-Edwards 2型)と診断した。生後早期よりコントロール不良の心不全を来たし、日齢5に両側肺動脈絞扼術を施行した。Gバンド分染法では正常女性核型であり、FISH法でも22q11.2欠失は認めなかった。左難聴以外の大きな問題なく、経過観察中である。前児1歳時に、自然妊娠にて第3子の妊娠成立。在胎21週5日に胎児心臓超音波検査にてTAを指摘され、在胎39週3日、自然分娩で出生した。TA(Collett-Edwards 3型)、右側大動脈弓、心室中隔欠損症と診断し、 同様の戦略で日齢4に両側肺動脈絞扼術を施行し、以後経過観察中である。尚、第2子と同様に左聾の疑いあり、Gバンド分染法では正常男性核型であり、FISH法でも22q11.2欠失は認めていない。同胞例であり両親の同意を得て、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の協力でエキソームシークエンス解析を実施し、TMEM260遺伝子のフレームシフト変異(c.1616 del G:p.W 539fs)を認めた。同遺伝子でのTAの同胞例の報告あり今回の責任遺伝子と考えられた。同遺伝子異常では腎機能障害の報告が有り、今後注意深く経過観察を行う。