The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域専門職部門シンポジウム

移行支援

多領域専門職部門シンポジウム01(I-TRS01)
小児と成人の事例で考える移行支援

Sun. Nov 22, 2020 3:30 PM - 5:30 PM Track5

座長:山村 健一郎(九州大学病院 小児科)
座長:吉田 佳織(大阪母子医療センター)

[I-TRS01-5] 成人移行期(学童期)にある患者への支援と課題:こどものセルフケアから考える移行期支援

西川 菜央 (関西医科大学 看護学部)

Keywords:先天性心疾患, 移行期支援, セルフケア

わが国においても移行期医療に関する研究が積み重ねられ、先天性心疾患を持つこどもたちが成人期までに獲得しておくべき技術や能力が徐々に明らかにされてきている。また、様々な移行医療の提言の中で、こども自身の意思の尊重やこどもの自己決定権の重要性が述べられている。 しかし、まだまだ臨床の現場ではこどもたちへの具体的な支援方法については各施設が模索しながら実践を行なっている。私はこどもたちと接する中で我々医療者が考えるこどもたちの望ましい姿や健康の指標とこどもたちの主観的な健康の指標に乖離があるように感じている。移行期にあると言われているこどもたちは身体発達だけではなく、認知や自我も発達段階である上に、症状も固定しにくく、環境や役割も目まぐるしく変化を遂げている。その中で、こどもたちは自分の心身の状態を理解しようとし、自分が健康であるために自分ができることを見出そうとこどもたちなりに生活の中でセルフケアを実行している。まずは、こどもが自らの生活の中で発達させてきた健康観やセルフケア能力を医療者である私たちが理解し、その上で、こどもや養育者とともに探索しながらより健康な生活へこどもが自身で自己決定し、生活を継続していくための看護支援が必要であると考えている。「こどもセルフケア看護理論」を構築した片田らは、「こどもを人格を持ったひとりの人間としてみると同時に、今を生きている発達途上の人間であると意識することは、その人の持てるセルフケア能力を認め、それを実施しようとする力を信じることにつながる」1)と述べており、こどもを主体とするケアのために、まずは周囲の大人がこどものセルフケア能力を信じるように転換することの重要性を示唆している。今回、私が関わった学童期の事例を紹介し、皆様と一緒に移行期の支援について考えていきたい。1) 片田範子(編)(2019); こどもセルフケア看護理論, 医学書院, 東京.