[I-TRS02-1] 東京大学病院における小児重症心不全患者のリハビリテーション -心身の発達を目指して-
Keywords:リハビリテーション, 心臓移植, 補助人工心臓
【はじめに】小児心臓移植数は漸増しているが、待機期間は長期に及ぶ。移植待機期間をどう過ごすかが移植後に影響を及ぼすと考えられ、リハビリテーション(リハビリ)の位置付けは重要となる。今回、心臓移植を目指す重症心不全患者のリハビリについて、当院の取り組みを報告する。【リハビリの実際】2020年1月現在、15歳以下のVAD患者24名にリハビリを実施し(平均年齢7歳(5ヶ月-15歳)、体外設置型22名)、14名が移植に至っている(当院移植5名)。VAD装着日数は平均458日(217-1107日)と長期に及んでいる。VAD患者のリハビリは、可能な限りVAD装着前より開始し、術後、状態に応じ迅速に離床を進めている。また、術前から児・家族との関係性を構築し、術後、安心してリハビリが再開できるよう心がけている。リハビリの主たる目標は、VAD装着前は過負荷に注意し、心不全の増悪を招かない範囲での身体機能維持、装着後は循環動態に応じた積極的離床、身体機能・ADL能力の向上、発達促進である。特に発達途上にある乳幼児の場合、十分な安全を確保した上で発達を促せるよう、多職種で協力し、活動場所の拡大、他児との交流を増加できるよう取り組んでいる。学童に関しては、有酸素運動の実施により筋力・耐久性の向上が図れ、1日2000歩以上の歩行耐久性の獲得、植込型VAD患者では4時間程度の外出が可能な体力を獲得し、自宅退院を迎えられている。このような取り組みにより、当院移植患者4名(移植前に運動麻痺を有す患者を除く)の移植術後の平均在院日数は36.5日(21-46日)、退院までに術前レベルの発達・身体機能を再獲得できている。【結語】移植を待機する小児重症心不全患者のリハビリは、身体機能の向上のみならず心身の発達が目標となる。患者が望ましい状態で移植に到達するためには、医療チームで協力した取り組みが重要である。