第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

多領域専門職部門シンポジウム

小児重症心不全におけるリハビリテーション

多領域専門職部門シンポジウム02(I-TRS02)
小児重症心不全:補助人工心臓装着患児におけるリハビリテーションの力 ‐その実践と多領域のサポート‐

2020年11月22日(日) 15:30 〜 17:00 Track6

座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)
座長:南 茂(大阪大学医学部附属病 院医療技術部臨床工学部門・臨床工学部)

[I-TRS02-3] 当院における小児用体外式補助人工心臓装着患者に対するリハビリテーションの経験

高木 敏之1, 五十嵐 悠華1, 近田 光明1, 戸田 紘一3, 牧田 茂2, 枡岡 歩3 (1.埼玉医科大学国際医療センター リハビリテーションセンター, 2.埼玉医科大学国際医療センター 心臓リハビリテーション科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 重症心不全心臓移植センター)

キーワード:小児小児用体外設置型補助人工心臓, リハビリテーション, 小児重症心不全

【はじめに】小児用体外設置型補助人工心臓(EXCOR)は小児重症心不全の治療や心臓移植待機の補助として2015年6月から我が国でも承認され、以来国内での装着数も増加している。今回、当院で行われた6名のEXCOR装着患児のリハビリテーション(リハ)の経験について報告する。【対象】2016年12月から2020年2月までに当院でEXCOR装着7例(平均年齢は3.5±3.2歳)のうちリハを行った患児6名(男/女:1/5)を対象とした。【方法】EXCOR装着後は医師の指示のもと術後リハを開始(16±10.8日)しバイタルサインに注意しつつ座位練習から開始(幼児/児童:72±48.3日/14.5±5.7日)し段階的に運動負荷の増加を図る。幼児の場合は発達段階に応じた機能獲得を目指すが、EXCOR挿入部の考慮しうつ伏せやずり這いなどの練習は積極的に行わず、座位や掴まり立ち等の練習を中心に実施する。リハの際は臨床工学技士が同伴し、姿勢の変化や運動負荷増加の際にポンプ状態のチェックを行いつつリハを進行した。家族に対しては抱き方や日常生活上での注意点などの指導も行った。【結果】リハ介入した6例中、心臓移植に到達した2症例(児童1名、幼児1名)は、年齢相応の発達を維持する事ができた。また心内膜床欠損症術後心不全症例(2歳)では、長期臥床による廃用症候群を認め掴まり立ちの段階で国内移植となった。現在装着中3例のうち2例(乳児1例、児童1例)は、年齢相当の発達を獲得し、幼児1例は廃用症候群による身体機能低下を認めている。【考察】人工心臓装着患者の術後リハの大きな目的は心臓移植に向けディコンディショニングの改善と身体機能の向上であり、EXCOR装着患児においても同様である。特に幼児の場合は術前の活動量低下と術後臥床の影響で発達遅延を認める事が多く、医師や看護師、臨床工学技士と連携し積極的に術後リハを行う事で、EXCOR装着により活動が制限された状態でも、患児の正常な発達を促し身体機能の向上を図る事が可能である。