第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

多領域専門職部門シンポジウム

小児重症心不全におけるリハビリテーション

多領域専門職部門シンポジウム02(I-TRS02)
小児重症心不全:補助人工心臓装着患児におけるリハビリテーションの力 ‐その実践と多領域のサポート‐

2020年11月22日(日) 15:30 〜 17:00 Track6

座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)
座長:南 茂(大阪大学医学部附属病 院医療技術部臨床工学部門・臨床工学部)

[I-TRS02-4] ICUにおける体外式VAD装着患児のリハビリテーションをスムーズに行うための多職種連携

竹添 麻貴 (東京女子医科大学病院 看護部 東2階ICU)

キーワード:EXCOR, リハビリテーション, 小児

当施設では2019年から現在までにBerlin Heart EXCOR(以下EXCOR)3症例を経験した。3症例は全て乳児であり、EXCOR装着時の平均体重は4.4(3.6~5.2)kgであった。いずれの患児でもEXCORのポンプは、膝の辺りにあり、リハビリテーション(以下リハビリ)による貫通部や送・脱血カニューレ、駆動ケーブルのトラブルが懸念された。そこで、ICUで初回症例のリハビリを開始する際、医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士が集まり、人形を使用したシミュレーションを行った。それぞれの役割を決めて行動し写真を撮り、他のスタッフと共有した。またリハビリ前後でドライブラインの皮膚貫通部に変化がないか観察し、患児の活動やリハビリに合わせて皮膚貫通部の固定方法を模索し、ドライブラインの屈曲防止のためバストバンドやポシェットを使用した。
EXCORを装着した患児は成長発達に合わせてリハビリを行うことが大切である。そのため、看護師は患児が発達段階のどの段階にいるのか見極めリハビリ内容を検討する必要がある。そして入院の経過の中で患児が成長発達できるように保育士との連携も重要になる。また、成長発達に欠かせないのが家族、特に母親の存在である。ICU看護師は早い段階から親を含めた家族にリハビリへの介入を促し、母子の愛着形成や患児とのスキンシップを深めることができるよう多職種間の調整役を担っている。
EXCORを装着した患児のリハビリには多職種との協働、家族へのサポートが不可欠である。当施設ICUの乳児に対するリハビリの経験を通して、今回のシンポジウムでさまざまな発達段階におけるVAD装着患児の多職種連携についてディスカッションしたい。