[I-YB02-2] 4D flow MRIでの血行動態評価に基づく成人期右室流出路再治療介入
Keywords:右室流出路再建, 4D flow MRI, 右心系血行動態
【背景】右室流出路の遠隔期再治療介入は肺動脈弁狭窄(PS)や肺動脈弁逆流(PR)に分けて考えることは難しく、一弁付きパッチが半閉鎖位で固定されていたりし、収縮期の狭窄と拡張期の逆流を合併することもまれでなく、考え方を難しくしている。我々は右心機能と血行動態の系統的な評価として4D flow MRIを用いて心内修復後の右室流出路再治療の効果を検討した。【方法】右室流出路に介入がなされた心内修復後遠隔期にPSまたはPRを来した46症例で4Dflow MRIを施行。年齢28.5±10.5歳でファロー四徴症類縁疾患術後30例、Ross/Ross-Konno後7例、大血管転位症術後5例、その他4例。うち29例が生体弁肺動脈弁置換(N=7)またはePTFE三弁付導管での流出路再建(N=22)を行い、15例が術後4D flow MRIを行った。評価項目はMRIでの拡張/収縮末期右室容積係数(RVEDVI/ESVI)、逆流率、心係数およびエネルギー損失(EL)に加え心電図でのQRSと血液検査でのBNPを加えた。【結果】PR12例、PS14例、PSR合併を20例に認めた。逆流率は右室容積(RVEDVI/ESVI)と相関(R=0.72/0.67, P<0.0001)し、QRS幅はEDVI(R=0.32, P=0.03)よりもESVI (R=0.44, P=0.002)により相関した。逆流が大きく低心機能に至った症例ではELは低値で、BNPはCI (R=-0.40, P=0.007)とRVESVI (R=0.31, P=0.04)にのみ相関した。再手術例では三尖弁形成(N=8)、Maze(N=4)、大動脈弁形成/置換(N=4)を合併手術として行っており、術後有意な右室容積の減少(RVEDVI/ESVI:109.5±59.2/57.1±29.9から69.6±18.2/33.1±12.5 ml/m2, P=0.02/0.01)とBNP低下(77.0±81.0から31.6±11.5 pg/ml, P=0.04)を認めたが、ELの低下(6.76±2.93から2.16±1.02 mW, P<0.0001)が顕著であった。【結語】4D flow MRIではPSR合併例でも収縮期の後負荷と拡張期の前負荷をELの絶対値で評価可能で、EL index 3.0 mW/m2とEL/CO 1.0以上は再治療介入の適応を積極的に考慮しても良いと考えられた。