[II-EL02] TGA,DORVの刺激伝導系:VA connectionのトリック
キーワード:刺激伝道系, TGA, DORV
TGAはconcordant AV connectionであるがdiscordant VA connectionのために三尖弁から前方大動脈への血流が急角度で曲がるためmedial papillary complexとTSMの形態が多様になり、加えてVSDが右室出口の役割を持つTOFとは異なり血行動態的役割がないため TSM伸展・肥厚に規則性がなく心室内伝導路は様々な走行を示す。唯一、流出路中隔の左方偏位による肺動脈弁下左室流出路狭窄を伴うTGAは左室から右室へのoutlet型VSDになり、TOFに似た刺激伝導系になる。DORVはconcordant/discordant AV connectionsとconcordant/discordant VA connectionsの組み合わせにより出現する多数の疾患の付随的存在である。NGA型DORVはEisenmenger complex型VSD、TOF型DORVはTOF型VSD、TGA型DORVはTGA型VSD、ccTGA型DORVはccTGA型VSDというそれぞれの基本疾患の刺激伝導系に類似する。その中でDORVの共通の特徴はslingが起きる可能性がある点である。Concordant AV connection+discordant VA connectionのTGAで左室後方起始のPAが右方偏位してFalse Taussig-Bingになると前方房室伝導路が残りslingが生じる可能性がある。また、discordant AV connection+discordant VA connectionのccTGAで右後方左室起始の肺動脈が左方偏位してccTGA型DORVになると僧帽弁騎乗と同様の機序で後方房室伝導路が残ってslingを生じる可能性が出て来る。結論:TGAとDORVはVA connectionの状況により多様な房室間伝導路を呈する。