[II-OEP06-3] 胎児大動脈縮窄症例における、大動脈峡部/週数の妥当性についての検討
キーワード:大動脈縮窄症, 胎児, 大動脈峡部/週数
【背景・目的】胎児心エコースクリーニングで大動脈峡部(IS)が動脈管(DA)に比べて明らかに細い場合は大動脈縮窄症(CoA)が疑われ紹介される。当院ではISとDA径に差があっても経験的にIS (mm)/GA(週)>0.1であれば生後問題となることはなく、開業医産科病院での周産期管理が可能と判断している。今回上記方針の妥当性について検討した。【対象】2015年3月から2019年12月に、CoA疑いで紹介された29症例を対象とし非外科治療群18例(検査週数30~40週)と外科治療群11例(検査週数31~38週)に分け後方視的に検討した。胎児発育不全、左右心室バランス異常、左室流出路狭窄、大動脈弁狭窄、大動脈弓離断症例は除外した。超音波指標は胎児水平断の大動脈弁(AV)・肺動脈弁(PV)・僧帽弁(MV)・三尖弁(TV)・IS・DAと矢状断(sag)でのIS・DAの径を計測し、AV/PV、MV/TV、IS/DA、IS/GA、IS(sag)/GAについて両群間で有意差を検定した。また、IS/GA>0.1と外科治療の関係性について検討した。【結果 非外科治療群:外科治療群(数値は平均±SD)】AV/PV(0.74±0.16:0.61±0.14)、MV/TV(0.78±0.12:0.68±0.23)については両群間で有意差は認めなかった。IS/DA(0.67±0.2:0.46±0.09)、IS/GA(0.1±0.02:0.07±0.01)、 IS(sag)/GA(0.1±0.02:0.07±0.01)については外科治療群で優位にIS径は小さいことを認めた。また、IS/GAと外科治療の関係の検討では、外科治療群のIS/GAの最大値は水平断で0.08、矢状断で0.09であった。IS/GA>0.1 では水平断の感度100%・特異度64%、矢状断で感度100%・特異度58%で外科治療は不要であった。【考察】胎児期にIS(mm)/GA(週)>0.1であれば、生後にCoAが問題にならず開業産科病院での周産期管理が可能であると考えられる。