[II-OEP08-3] 手術室早期抜管による術後血行動態および集中治療管理に関する検討
Keywords:手術室抜管, 術後, 集中治療管理
先天性心疾患術後の急性期管理は呼吸器離脱までが大半を占める.当院では早期抜管による血行動態へのBenefitに注目して,2013年より手術室抜管プログラムを開始している.早期抜管による呼吸器関連障害回避,自発呼吸・胸腔内陰圧による血行動態改善でカテコラミン使用が減少し周術期管理の改善を図っている.【対象】2017年1月から2020年1月までの開心術すべてを対象として,新生児開心術,新生児BTS,Norwood手術,弁形成術,術前呼吸管理患者は対象外とした.【結果】開心術226例中,対象は183例で手術室抜管は159例(86%)に行った.主な手術内容はVSD closure 42例,ASD 21例,TOF repair 24例,Fontan 14例,BDG 6例 PAB 15例,PDA 7例,RVOTR 7例,PVR 6例,AVSD 6例,BTS 5例,DCRV 4例,IAA 3例,Rastelli 3例.非抜管理由は,開胸管理,気管出血,緊急手術,染色体異常,長時間手術,成人先天性で,非抜管24例と抜管159例を比較すると手術時年齢(y)15.6±26.6:7.2±14.4 (p=0.008), 体重(kg),22.8±25.8:17.8±20.6 (n.s),術後挿管時間(h)59.7±70.9:0,カテコラミン使用(d)5.0±6.6:0.6±2.0 (p=0.0001),カテコラミン使用量や,手術時間,体外循環時間、遮断時間は非抜管群で長く,ICU滞在(d)7.1±7.5:2.1±6.7 (p=0.0001),再挿管は3例:3例、手術死亡1例:1例であった。また,プログラム開始以前の2011年1月から2012年12月の同症例82例を対照群(C群)とし,プログラム群(P群)とを比較した.C群は17例(21%)に手術室抜管を行っており,挿管時間C群:22.8±48.5: P群:8.7±33.5(p=0.007),カテコラミン使用(d) C群:1.8±5.0, P群:1.2±3.3 (n.s), ICU滞在(d)C群:2.7±3.0, P群:2.7±4.0 (n.s)と手術室抜管率は低率であっても良好な結果であった.【結語】手術室抜管による有害事象はなく,早期抜管による血行動態安定を認めた.術後早期抜管の有用性,集中治療における呼吸器離脱時期の重要性が示された.