[II-PAL-2] 心外導管法を用いたFontan手術における中遠隔期合併症
Keywords:Fontan手術, 心外導管法, 遠隔期合併症
【目的】心外導管法(EC法)を用いたFontan手術後患者の中遠隔期合併症の発生率やリスク因子を明らかにすること。【方法】福岡市立こども病院にて1994年から2018年までの間に施行したEC法Fontan患者644例について、同院および九州大学病院の診療録を後方視的に解析し、死亡、Fontan failure、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈、脳卒中、喀血、急性非代償性心不全、蛋白漏出性胃腸症(PLE)、鋳型気管支炎の発生率およびリスク因子について検討した。合併症の発生率に関しては、同院で施行した非EC法患者102例と比較した。【結果】原疾患は右室型単心室40.7%、左心低形成症候群17.5%など。平均観察期間9.0±6.1年。10年生存率96.8%、20年生存率91.9%、Freedom from Fontan failureは10年92.3%、20年90.5%であった。合併症の罹患率は頻脈性不整脈6.8%、徐脈性不整脈5.3%、脳卒中2.3%、喀血 1.6%、急性非代償性心不全 3.0%、PLE 2.5%、鋳型気管支炎 0.5%であった。これらの合併症のリスク因子は、左心低形成症候群、Heterotaxy、肺動脈形成術後、ペースメーカー植え込み術後、房室弁置換術後、Fontan手術時高年齢、fenestrated EC、Fontan術後の酸素飽和度低値、中心静脈圧高値、Nakata index低値、房室弁逆流の残存などであった。生存率および各種合併症の累積罹患率を非EC法患者と比較すると、生存率は有意に高く、頻脈性不整脈および脳卒中は有意に低頻度であったが、その他の合併症発生率に有意差はなかった。【結語】EC法によってFontan術後患者の生命予後は改善しているが、一部の合併症の発生率は変化していない。EC法患者においても、リスク因子を有する患者の注意深い経過観察を要する。