[II-PAL-5] 脱細胞化ホモグラフトを用いた右室流出路再建術の検討
キーワード:右室流出路, ホモグラフト, 組織工学
【背景】先天性疾患患者に対する右室流出路再建(RVOTR)には様々な素材、グラフトが使われているが、耐久性、抗血栓性、抗感染性、そして患児の成長に伴った弁の成長といった点で理想的なグラフトは未だ存在しないといえる。我々の施設では2005年から脱細胞化ヒトホモグラフト(decellularized pulmonary homograft; DPH)をRVOTRに用いて良好な成績を挙げてきているのでその近年の成果を報告する。【方法】2014年から2016年までに7施設でDPHを用いてRVOTRを試行した121例を対象として術後成績を検討した。【結果】患者の平均年齢は21歳、最も頻度の高い玄疾患はファロー四徴症で植え込んだDPHの径の平均は24mmであった。植え込みに際するadverse eventは認めず、手術の成功率は100%であった。術後早期死亡が2例あるがDPHに起因するものではなかった。観察期間中の遠隔死亡は無く、DPH の平均圧較差は16.1mmHgで、0から3度に分類した逆流の程度は平均で0.25であった。ケースマッチした凍結ホモグラフト(CH)およびウシ頚静脈弁(BJV)との比較検討では、術後生存率に有意差は認められなかったが、感染性心内膜炎の回避率はDPHがBJHに比べて有意に高く(p=0.03)、再手術回避率もDPHがCHおよびBJVに比べて有意に高かった(p=0.01)。また、DPHは術後遠隔期にグラフトの弁輪径が患者の体格に応じた正常径に収束して行く傾向にあり、患者の成長に伴って成長する可能性が示された。更にDPH患者ではcellular immune response が有意に抑制されており、グラフトの自己細胞による再細胞化が組織学的に確認されている。【結論】脱細胞化ヒトホモグラフト(DPH)は、耐久性、抗感染性、グラフトの成長といった点から現時点で最も理想に近いRVOTRのグラフトと考えられる。径カテーテル的グラフト装着法の開発とグラフトのavailabilityの改善が今後の課題である。