第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

心臓移植と補助循環

パネルディスカッション05(II-PD05)
心臓移植と補助循環「本邦における小児心臓移植と補助循環の現状  ドナー、レシピエント双方の立場から」

2020年11月23日(月) 08:10 〜 10:10 Track4

座長:福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)
座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)

[II-PD05-1] 【基調講演】米国における小児重症心不全に対する補助循環・心臓移植の現在

安達 偉器(Clayton Endowed Chair in Cardiac Transplant and Mechanical Support Director, Mechanical Circulatory Support Congenital Heart Surgery, Texas Children’s Hospital Associate Professor, Michael E. DeBakey Department of Surgery Baylor College of Medicine)

キーワード:小児心臓移植, 補助循環

米国における小児重症心不全治療は、この10年間著しく変化している。その最たる理由は、補助循環法の急速な進歩にある。心筋症のみならず、単心室を含む複雑心奇形を有する患児に於いても、補助循環により安全に心臓移植へのブリッジが可能となってきた。PediMACSやACTION Networkといった、National/International Registryの存在が、米国全体における補助循環治療の質向上に大きく寄与している。補助循環治療の拡大・成績向上はまた、小児心臓移植の展望に変化をもたらしつつある。米国での移植ネットワークであるUNOSデータベースによれば、近年の小児心臓移植患者における補助循環装着者の割合は増加の一途を辿り、近い将来50%を超えると予想される。成績向上による着実な小児心臓移植術後患者数の増加は、将来的な慢性移植臓器不全患者予備群の拡大も意味する。心臓再移植の成績不良を鑑みれば、(永久的な)補助循環がこれらの予備群には、必要不可欠かつ唯一現実的な治療法となる可能性がある。すなわち、小児心臓移植が永久補助循環への逆ブリッジとして治療体系に組み込まれる時代の到来もありえる。当講演においては、上述の如く急速な変化を遂げている米国小児重症心不全治療を概説する。