[II-PD07-1] 位相差コンストラスト法と心臓カテーテル法を用いた術後の肺血流分布のシミュレーション
Keywords:シミュレーション, 片側肺動脈欠損, IPAS
【背景】片側肺動脈欠損(UAPA)症例や肺動脈隔壁形成術(IPAS)後の単心室症例など,左右の肺血流源が異なる場合,肺血流シンチグラフィによる肺血流分布の評価やFick法における肺血流量評価といった従来の方法が利用できない。そのなかで,CMRの位相差コントラスト法(PC-CMR)による左右肺血流量測定とX線透視下心臓カテーテル法(XR-Cath)による左右肺動静脈圧測定とを同時期に行い,左右各々の肺血管抵抗を求めることにより修復術後の肺血流分布をシミュレーションすることが有用ではないかと考えた。【目的】術前にPC-CMRとXR-Cathで求めた左右各々の肺血管抵抗に基づいて行った修復術後肺血流分布シミュレーションの妥当性を検証すること。【方法】PC-CMRとXR-Cathから左右各々の肺血管抵抗を算出し,修復術後肺血流分布シミュレーションを行い術後評価も行った4例(UAPA:2例,IPAS:2例)を対象とし,後方視的に検証を行った。患側肺血管抵抗を健側肺血管抵抗で除したものをRp ratio,患側肺血流が全肺血流に占める割合をiPAF rate(%)とした。【結果】UAPAの2症例(症例1,症例2)についてはいずれも患側肺動脈にB-Tシャント術を行い,修復術を行った。症例1はRp ratioは5.2であり, iPAF rateを16%と予測し,術後のiPAF rateは19%であった。症例2はRp ratioは4.5であり, iPAF rateを18%と予測し,術後のiPAF rateは12%であった。IPASの2症例(症例3,症例4)はいずれも隔壁解除しFontan型手術に到達した。症例3はRP ratioは1.3であり, iPAF rateを43%と予測し,術後のiPAF rateは39%であった。症例4はRp ratioは6.5であり, iPAF rateを13%と予測し,術後のiPAF rateは21%であった。【結論】PC-CMRを用いた血流測定とXR-Cathを用いた肺動静脈圧とから算出した左右各々の肺血管抵抗を用いることにより,肺血流源が左右異なる症例に対する修復術後の肺血流分布をシミュレーションすることが可能であった。