The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

画像診断・シミュレーション医学・心臓血管機能

パネルディスカッション07(II-PD07)
画像診断・シミュレーション医学・心臓血管機能「New Topics 画像で迫る先天性心疾患の心機能」

Mon. Nov 23, 2020 8:10 AM - 10:10 AM Track6

座長:稲毛 章郎(榊原記念病院 小児循環器科)
座長:板谷 慶一(京都府立医科大学心臓血管外科心臓血管血流解析学講座 / 成人先天性心疾患センター)

[II-PD07-2] 先天性心疾患における肺血管容積

宗内 淳1, 渡辺 まみ江1, 杉谷 雄一郎1, 松岡 良平1, 土井 大人1, 江崎 大起1, 藤本 智子2, 松田 健作2, 落合 由恵2 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 心臓血管外科)

Keywords:CT, 右心バイパス, 肺血管容積

【背景】先天性心疾患治療計画の中で肺循環評価は重要で、特に右心バイパスは肺動脈への駆動心室欠如を特徴とするため肺血管床成長を知ることは欠かせない。しかし従来の肺動脈断面積に基づく肺動脈指数(PA index)はそれに十分ではないと考えられ新たな指標が望まれる。
【目的】造影CT検査から3次元構築した画像から肺血管容積を算出し、右心バイパスを目指す単心室患者の肺血管床評価に有効かどうかを検討する。
【方法】Glenn術を実施した患者を対象として術前(N=32)および術後(N=21)に造影CT検査と心臓カテーテル検査を実施し、造影CT検査から得られた肺血管容積と肺循環指標を比較した。肺血管容積は解析ソフトVirtual Place Raijin(AZE社)を使用し、全肺血管容積、肺内外の肺血管をそれぞれ,中心肺血管容積、肺内肺血管容積として算出し体表面積で補正した。
【結果】Glenn術時年齢12(6-18)か月、体重6.4(5.6-7.8) kgであった。Glenn術前後の肺循環指標は、それぞれ肺血流量 (Qp): 3.90(3.36-4.80) vs 2.55(2.39-3.02)mL/min/m2、肺体血流比:0.88(0.72-1.19) vs 0.61(0.54-0.66)、平均肺動脈圧:11(10-13) vs 9(6-10)mm Hg, 肺血管抵抗指数(Rp):1.64(1.18-2.33) vs 1.62(1.27-1.80)Wood unit・m2, PA index:246 (172-327) vs 182(166-225)mm2/m2であった。また全肺血管容積 38.7(30.4-45.5) vs 34.5(28.7-36.6)ml/m2、肺内肺血管容積26.9(21.1-35.3) vs 32.8(23.3-39.2)ml/m2,中心肺血管容積11.1(9.5-14.8) vs 9.9(8.2-15.8)ml/m2であった。全肺血管容積,肺内肺血管容積,中心肺血管容積のいずれもPA indexと関連はなかった.Glenn術前後とも中心肺血管容積は有意にQp(r=0.52,r=0.45)に相関してたが,PA indexはいずれの肺循環指標とも関連はなかった。
【結論】Glenn術前の肺血管容積,特に中心肺血管容積はPA indexよりもGlenn術後の肺血流量を示唆する有用な指標である。