[II-PD07-3] Fontan術後患者の運動負荷心エコーを用いた心房機能解析
Keywords:Fontan, 心房機能, 運動負荷
【背景】心房機能は心室に適切かつ十分な前負荷をもたらすのに重要である。我々は過去に2D speckle tracking法を用いてFontan術後患者の心房機能解析を行い、Fontan術後は健常児と比較して心房reservoir機能が低下し、booster pump機能が保たれており、心室への前負荷維持に貢献していることを示した。また心房機能は運動負荷時に心拍出を維持させるために重要だが、Fontan術後の運動負荷時の心房機能解析の報告はない。【目的】Fontan術後患者の運動負荷時の心房機能を検討し、心拍出や運動耐容能低下との関連を明らかにする。【対象】Fontan術後患者(F群)9例と健常児 (N群)9例(年齢8-21、中央値12)【方法】臥位エルゴメーターのBruce protocolで運動負荷し、安静時(rest)と運動負荷時心拍数100回/分前後のタイミング（peak）で心尖部四腔断面像を記録した。EchoPACによるオフライン解析で左房もしくは共通心房のReservoir(res),Conduit(con),Pump(act)時相それぞれのglobal longitudinal strain(ε;)、strain rate(SR)を計測した。【結果】運動負荷時にF、N群共にε;act、SR resが有意に増加した。(rest vs peak：ε;act F群11.3±4.6 vs 16.5±5.1, p＜0.01,N群11.5±3.9 vs 16.8±4.3,P＜0.01, SR res F群1.4±0.6 vs 1.8±0.5, p＜0.05,N群1.7±0.6 vs 2.1±0.5, p=0.01)またF群においてSR actが有意に増加した。(rest vs peak: -1.45±0.5 vs -2.55±0.8, p＜0.0001)また運動負荷時の心房機能をF,N群で比較すると、安静時同様booster pump機能には差がなく、reservoir機能、conduit機能が低下していた。(F vs N群：peakε;act -16.5±5.1 vs -16.8±4.3,p=0.92, peakε;res 21.9±4.5 vs 37.9±10.4,p＜0.01,peakε;con 5.4±3.8 vs 21.1±10.5,p＜0.01）【結論】Fontan術後は安静時のみならず、運動負荷時のbooster pump機能の予備能が心室へ前負荷維持、心拍出量維持に中心的な役割を担っている可能性がある。