[II-PD07-6] 先天性心疾患診療における血流シミュレーションの有用性
Keywords:シミュレーション, 血流解析, 先天性心疾患
【背景】先天性心疾患は解剖や血行動態が複雑であり、非解剖学的血行再建を前提とした複数の術式の中で最適なものを選択することが遠隔期心機能や生活・生命予後の向上につながるため、シミュレーションでの治療計画が時に有益である。【目的・方法】先天性心疾患診療における血流シミュレーション(CFD)の利点・欠点について、当院での解析事例をもとに検討する。【結果】症例1:24歳男性。三尖弁閉鎖症、APC Fontan術後、右房拡大、冠静脈洞を来たしTCPC conversion施行。術前4D flow MRIで右房、IVC内血流の淀みを認めた。CFDにより心外導管を右肺動脈に吻合するよりも主肺動脈に吻合するほうがshear stress関連パラメータが有利であると判断。術後4D flow MRIでは冠静脈高血圧の改善に伴う左室機能改善とFontan循環の淀みの改善を認め心拍出量の増加を認めた。症例2:13歳女性。右室型単心室、両側SVC、IVC欠損、半奇静脈結合に対してTCPC術後。肝静脈血不均衡による左肺動静脈瘻に対して、TCPC導管交換を施行。CFDにより肺動脈-導管吻合口を左側に拡大し吻合。術後4D flow MRIでは肝静脈血流の両肺動への分布を認めたが、心機能改善による半奇静脈血流の増多のため右肺優位の流入であった。症例3:19歳男性。右冠動静脈瘻術後Valsalva動脈瘤。部分基部置換の際に右冠動脈再建方法をCFDを用いて検討。6 mm人工血管での直接再建が冠血流を最適化すると判断し手術施行。【結語】術後の血行動態を仮想的に再現しシミュレーションすることで術式選択がやりやすくなる。一方術後は血行動態の変化を来すため、シミュレーション上は変化を予測して解析することも重要である。