[II-S05-2] 循環器集中治療の現状と未来 ~自身のキャリア遍歴から考える~
Keywords:小児集中治療, 心疾患, 小児循環器
当院はかつて麻酔科医を主体とした集中治療科が術後管理を担っていたが、ここ10年ほどは心臓外科レジデントが主となって術後管理を行ってきた。当院小児心臓外科の手術日は週4日あり、2019年は432件の手術を行っている。JCCVSDを基にした手術難易度の内訳はA: 59件, B: 79件, C : 117件, その他177件となっている。特筆すべき点として新生児症例が72件、補助人工心臓関連手術が10件だった。若手心臓外科医は助手をつとめた手術当日の当直を行うことが通例となっていたが、昨今の心臓外科希望者減少に伴いレジデントのみで当直を行うことは困難となってきている。一方で、補助人工心臓装着術のように手術直後からベッドサイドで心機能評価を要する症例も増加傾向にあり、検査に精通する小児循環器科医が介入する機会は増えている。Michigan小児病院では小児循環器医が術後管理を行なっていた。そしてPICUはカテーテル治療班、成人先天性心疾患班、などと同列でレジデントのrotationに組込まれていた。解剖や術前の循環動態をもっとも理解しており、術後経過に疑問を感じれば、エコー検査等により血行動態を再評価する術を身につけているため、即座に軌道修正することができる。若手心臓外科医にとってICU管理は血行動態を肌で感じる貴重な時間であり、いわゆる普通の術後経過を経験することで異常を感知し、タイミングを逸することなく外科的(再)介入に踏み切れるようになるという教育的側面があることは否定しない。しかし、心臓外科医の慢性人手不足、過重労働を考慮するとPICUは小児循環器科医が担うのがもっとも効率が良いと考える。そしてDCMなどの重症心不全管理に対応する実力を身につけるためにも小児循環器レジデントはたとえ短期間であったとしてもMichigan小児病院のように周術期管理を経験することが望ましいと考える。当院では希望のある小児循環器レジデントにはそのような機会を提供する準備がある。