[II-S05-3] よりよい小児循環器集中治療の管理体制とは～Cardiac ICUにて心肺蘇生を要した症例を振り返って～
Keywords:cardiac ICU, Intensivists, cardiopulmonary resuscitation
【背景】 当院cardiac ICU(CICU)は、心臓外科医と小児循環器医による集中治療管理（旧体制）から集中治療医による管理体制（新体制）に代わって3年以上が経過した。医療の専門化や細分化、働き方改革が叫ばれる昨今、この管理体制への移行は本邦の小児循環器集中治療領域においても広まりつつある。今回、当院CICUで心肺蘇生(CPR)が必要となった症例を振り返りながら両管理体制を比較検討し、よりより小児循環器集中治療の未来を考えていきたい。【方法】 2013年1月から2019年7月までに当院CICUに入室した症例2008例（旧体制1002例、新体制 1006例）を対象とし、CICU入室後に急変により胸骨圧迫を含むCPRを要した症例27例に関して後方視的な検討を行った。【結果】 CPR症例数は、旧体制 24例 (2.4％)に対して、新体制3例 (0.3％)と有意に減少した。旧体制において、CPR時年齢 中央値10ヵ月(1日～5.6才)、体重 4.2kg (2.4～12.8kg)。患者急変の主因は循環不全16例、換気不全8例で、うち18例が夜間・休日の急変であった。CPR時間 9分15秒(1.5～73分)、24例中9例がECMO導入となった。一方、新体制において、CPR時年齢 中央値1.9ヵ月(1.6～6.2ヵ月)、体重 4.5kg (3.6～7.2kg)。3例いずれも夜間帯での循環不全による急変であり、すべてECMO導入となった。CPR時間 28分 (17～50分)。CPR後のCICU滞在中死亡は旧体制7例、新体制1例であった。【結論】 集中治療医専従によるCICU管理体制によって、CICU入室後の急変によるCPR症例は劇的に減少した。しかし、新体制におけるCPR症例はいずれも夜間帯での循環不全による急変で、夜間帯のCICU管理体制の見直しや循環器集中治療専門医の育成が必要であると考えられた。