The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

循環器集中治療

シンポジウム05(II-S05)
循環器集中治療「循環器集中治療の現状と未来」

Mon. Nov 23, 2020 8:10 AM - 10:10 AM Track7

座長:小田 晋一郎(九州大学大学院 医学研究循環器外科)
座長:松井 彦郎(東京大学医学部附属病院 小児科)

[II-S05-5] 本邦のClosed・Mixed PICUにおける小児循環器集中治療の現状と課題

正谷 憲宏1, 小谷 匡史1, 齊藤 修1, 清水 直樹1,2 (1.東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部 集中治療科, 2.聖マリアンナ医科大学 小児科学講座)

Keywords:小児循環器集中治療, mixed PICU, closed PICU

【背景】本邦でPICUを有する施設と小児心疾患を扱うhigh volume centerは必ずしも同施設ではない。我々の施設は専従の小児集中治療医が診療の中心を担うclosed PICUであると同時に、循環管理以外にも呼吸不全や外傷、他臓器の周術期管理など多岐にわたる病態の重症管理を行うmixed PICUである。当院PICUの年間800例前後の入室のうち心疾患が占める割合は2割程度に過ぎないが、先天性心疾患をはじめとする心疾患の重症管理は疾患特有の専門的な知識を要する場面が多い。Mixed PICUかつclosed PICUである当施設の現状を調査し、今後の課題を検討した。
【当施設の現状】心疾患を有する児の併存疾患の重症管理では包括的な重症管理の点で当院のようなmixed PICUに利点があると思われる。一方で、複雑な血行動態を有する患者の術前管理やRACHS-1 categoryが4を超える術後症例では数名の小児循環器集中治療医に依存する部分が大きく、詳細な超音波検査や不整脈診断などでは小児循環器医の支援を要する。教育の観点では、血行動態の理解のために部門内および院外講師を招聘した勉強会を開催し、症例ごとに血行動態の図示・管理方針の明確化に取り組んでいる。また、心拍出量モニタリングを積極的に使用し循環動態の「見える化」に努めている。看護師との情報共有ツールの運用や部門全職員を対象に蘇生の初期対応のトレーニングなど看護師も含めた診療の質向上を図っている。
【課題】研修期間内の院外研修を含めた心疾患の経験値は改善の余地がある。また、将来的にmixed PICUにおいても一定数の小児循環器集中治療医が必要であり、効率的な研修システムの構築が必要である。それに先立ち、当施設では国内・海外研修を含む小児循環器集中治療の研修プログラムを2019年度より導入した。
【結論】本邦における小児循環器集中治療医の需要は高まっており、教育・研修システムのさらなる整備が喫緊の課題である。