[II-TISL] “DORVの形態学” made easy
キーワード:両大血管右室起始, 流出路(漏斗部)中隔, 大血管関係
診断名DORVは「両大血管(大動脈・肺動脈)双方が右室と結合を有している(型:type of connection)」であり、修復術式の選択・予後を左右するのは「両大血管がどのように心室と(特にVSDを介して左室と)つながっているか(様式:mode of connection)」で、各種画像診断での着目点である。その後、流出路狭窄の有無や部位・程度、合併病変について評価を行う。両大血管弁口(あるいはその下(弁下))を分割する流出路中隔(OS)(漏斗部中隔(IS))は前方:右室自由壁側端(perietal insertion;PI)・後方:心室中隔側端(septal insertion;SI))の両端を有し、OS後端のSIの挿入方向が大血管のいずれかとVSDを介した左室からの血流路を決定する。すなはち、SIがVSD前縁(心室中隔前方部分~SMT前脚)に挿入すると大血管は左前・右後(正常大血管型)となりVSDは大動脈弁下型となる。反対にSIが右側(SMT後脚~右VIF)に挿入すると大血管は左後・右前(大血管転位型)となりVSDは肺動脈弁下型となる。これらの中間でOSが低形成(あるいは欠損)でSIが左側VIFに連なるとVSDは両大血管双方の弁口下に開口し両大血管下型となる。SIが中心線維体を介して後方心室中隔と整列するとVSDは肺動脈弁下型であるが、OSを切除すると容易に大動脈弁下とも交通を生じる(古典的Taussig-Bing奇形)。SMT前脚・後脚間が閉塞され、両側房室弁間に流入部型VSDや心尖肉柱部型VSDを生じると非交通型となる。VSDが半月弁口から離れたremote型は主観的要素が入り、機能的には非交通型であっても解剖学的には必ずしも該当しないこともある。大動脈弁口径の2倍以上離れるとremote型と呼ばれるが大動脈弁口径や弁口下筋性漏斗部の形状により影響される。これらを基本にOSの前後への偏位・長さ・厚さなど個別性の診断を進め、さらに僧帽弁・冠状動脈・大動脈弓などの合併病変の診断を行う。