[II-TRPAL-4] 小児心臓カテーテル検査・治療におけるNIRSを用いた下肢血流評価の有用性
Keywords:NIRS, 大腿動脈血栓閉塞, 小児
【背景】小児心臓カテーテル検査・治療(小児カテ)の合併症の一つに急性大腿動脈閉塞(AFAO)があり、その発生頻度は1~9%と報告されている。カテ中の下肢血流評価には皮膚色調、温度差、SpO2波形等があるが、定量的・連続的な評価は困難である。近赤外線分光法(NIRS)を用いた局所組織酸素飽和度(rSO2)は、非拍動流下でも局所酸素需給バランス変化、灌流状態の評価が可能である。近年、成人でのNIRSによる下肢血流評価の有用性は報告されているが、小児での報告はほとんどない。
【目的】小児カテにおけるNIRSによる下肢血流評価の有用性を検討すること。
【対象】2017年11月~2019年2月に先天性心疾患、川崎病後冠動脈瘤に対する小児カテ時にNIRSを用いて下肢血流評価をした12例。年齢は中央値0.9(範囲0.3-7.9)歳、体重6.9(4.4-24.8)kg、体表面積0.33(0.25-0.92)m2。
【方法】Medtronic社製INVOS 5100Cを両側腓腹部に装着し、シース挿入側のrSO2最低値[rSO2(min)]、対側との最大差[rSO2(diff max)]を測定し、年齢、体重、体表面積、シース留置時間、大腿動脈径(FAd)、シース外径(Sd)とFAdとの比(Sd/FAd)との関連を検討した。対側との差[rSO2(diff)]の変化を入室時、シース挿入時、挿入5・10・30分後、シース抜去前、退室時で評価した。
【結果】rSO2(min)は体表面積(rs=0.86,P<0.001)と相関を認めた。rSO2(diff)はシース挿入5分後(P=0.0018)、10分後(P=0.0015)、30分後(P=0.0453)で有意な低下を認めた。12例中1例でAFAOを合併した。非AFAO例ではカテ中のrSO2(min)が44(16-73)%、rSO2(diff max)が27(6-52)%に対し、AFAO例では rSO2(min)が15%、rSO2(diff max)が72%と著しく低下し、シース抜去後も改善しなかった。
【結論】NIRSによりカテ中の下肢血流を非侵襲的に連続かつ定量的に検出できた。AFAOの早期発見に重要なモニタリングになり得る可能性が示唆された。rSO2の評価方法については今後の検討が必要であると考える。
【目的】小児カテにおけるNIRSによる下肢血流評価の有用性を検討すること。
【対象】2017年11月~2019年2月に先天性心疾患、川崎病後冠動脈瘤に対する小児カテ時にNIRSを用いて下肢血流評価をした12例。年齢は中央値0.9(範囲0.3-7.9)歳、体重6.9(4.4-24.8)kg、体表面積0.33(0.25-0.92)m2。
【方法】Medtronic社製INVOS 5100Cを両側腓腹部に装着し、シース挿入側のrSO2最低値[rSO2(min)]、対側との最大差[rSO2(diff max)]を測定し、年齢、体重、体表面積、シース留置時間、大腿動脈径(FAd)、シース外径(Sd)とFAdとの比(Sd/FAd)との関連を検討した。対側との差[rSO2(diff)]の変化を入室時、シース挿入時、挿入5・10・30分後、シース抜去前、退室時で評価した。
【結果】rSO2(min)は体表面積(rs=0.86,P<0.001)と相関を認めた。rSO2(diff)はシース挿入5分後(P=0.0018)、10分後(P=0.0015)、30分後(P=0.0453)で有意な低下を認めた。12例中1例でAFAOを合併した。非AFAO例ではカテ中のrSO2(min)が44(16-73)%、rSO2(diff max)が27(6-52)%に対し、AFAO例では rSO2(min)が15%、rSO2(diff max)が72%と著しく低下し、シース抜去後も改善しなかった。
【結論】NIRSによりカテ中の下肢血流を非侵襲的に連続かつ定量的に検出できた。AFAOの早期発見に重要なモニタリングになり得る可能性が示唆された。rSO2の評価方法については今後の検討が必要であると考える。