[II-YB03-2] 総動脈幹症における両側肺動脈絞扼部へのバルーン拡張術の検討
Keywords:総動脈幹症, 両側肺動脈絞扼術, バルーン拡張術
【背景】当院では総動脈幹症に対して両側肺動脈絞扼術(bil PAB)の際に肺動脈をラッピングした後クリップで固定することでチアノーゼが進行した際にバルーン拡張術(PTA)により絞扼部が拡大できる方法を用いており、なるべく体重増加を待ってからRastelli手術を行う方針としている。2008年2月から2020年1月までに当院で治療を行った総動脈幹症6例のうち重症総動脈幹弁逆流のためPTAを実施しなかった1例を除いた5例についてPTAの有効性を検討した。【結果】bil. PAB施行時の日齢は平均5.4日(2-9日)、体重は平均2.7kg(2.2-3.3kg)、周径は右10mm, 左9.6mm(9.5-10mm)であった。全例で2回以上のPTAを施行していた。1回目のPTAは月齢2(0-6)か月、体重4.0(2.4-6.3)kgで2.5-3.5mmのバルーンを用いて施行していた。PTA後狭窄部径は平均0.59(0.3-1.3)mm拡大し、SpO2は平均7.6%(5-12%)上昇した。最終のPTAは月齢6.25(3-10)か月、体重6.5(5.7-7.3)kgで4-4.5mmのバルーンを用いて施行していた。PTA後狭窄部径は平均0.6(0.2-1.0)mm拡大し、SpO2は平均12.8%(6-20%)上昇認めた。全例でRastelli型手術へ到達しており、修復術時月齢は平均8.4カ月(4-12カ月)、体重は平均7.1kg(6.1-8.2kg)、導管のサイズは平均14.6mm(13-16mm)であった。【結語】本法を用いた肺動脈絞扼術部に段階的にPTAを行うことで、絞扼部の拡張、低酸素血症の改善が得られ体重増加を待ってからRastelli型手術を行うことができた。