[II-YB03-3] 総動脈管症に対する治療戦略と遠隔期成績
キーワード:総動脈管症, Rastelli, primary repair
【背景】当院では総動脈管症(Persistent Truncus Arteriosus: 以下PTA)は新生児期の一期的修復術を基本方針としているが, 新生児期の修復術では小口径の右室肺動脈弁付き人工血管(RVPAC)の使用による遠隔期の問題が懸念される.【方法】2000年1月から2020年1月までに当院で修復術を行ったPTA14例中MAPCAを合併した1例を除く13例を対象として, 手術成績,遠隔期成績を後方視的に検討した.【結果】PTAはCollett-Edwards type 1が6例, type 2が7例, 合併異常は大動脈弓離断症4例, moderate以上のtruncal valve regurgitation 2例であった. 12例にprimary repair(日齢7-45, 体重2172-3620), 1例に両側PAB後日齢33, 体重2800gでstaged repairを行った. 右室流出路再建法はmonocusp patch 2例, bicuspid RVPAC(径10-14mm) 5例, tricuspid RVPAC(径10-14mm) 5例, Graham-Nunn RVPAC(径10 mm) 1例であった. 周術期死亡は1例(PH crisisによる右心不全). 平均follow up期間8.9年で、遠隔死亡は 1例(染色体異常に伴う非心臓死). 再手術は9例で初回手術後平均6.0年(1.5-14.8年)にRVPAC交換5例, 肺動脈形成術+RVPAC交換3例, truncal valve regurgitationに対するKonno手術+RVPAC交換1例であった. 径10mmのRVPACで体重40kg超まで再手術を回避できた症例もあった。Kaplan-Meier法による5, 10年の生存率は各々83%, 83%, 再手術回避率は各々58%, 35%であった. RVPAC使用の有無及びRVPAC径と, 再手術までの期間との間に関連を認めなかった. 【考察】PTAに対する早期修復術の手術成績は満足ゆくものと考えられた. 遠隔期の再手術の原因はRVPAC狭小化のみではなく多彩であり, 小口径のRVPC使用に大きな問題はないと考えられた.【結語】周術期及び遠隔期成績から見て, PTA外科治療は早期の修復術が妥当であり, 全身状態が許せば新生児期一期的修復術が望ましい.