[II-YB03-4] 総動脈幹症に対する一期的修復術と段階的修復術の手術成績の検討
Keywords:総動脈幹症, 一期的修復術, 段階的修復術
【目的】総動脈幹症(PTA)は新生児期に手術介入を要する、自然予後不良の稀な疾患の一つである。当科では2003年より両側肺動脈絞扼術 (Bil. PAB) を先行させ、Rastelli型手術を行う段階的治療を導入した。当科におけるPTAに対する一期的修復術と段階的修復術の成績を比較検討し、報告する。【対象と方法】1992年1月~2019年12月までの27年間でPTAと診断された52例中、新生児期から当科で外科介入を行い、根治術に至った症例25例を対象とした。これを、一期的修復術群(P群)と段階的修復術群(S群) に分類し、治療成績を比較検討した。平均観察期間は6.5± 6.7年。【成績】P群(12例): 新生児期に一期的心内修復術を実施。手術時日齢、体重は17.6±7.1日, 2.8±0.44 kg。右室流出路再建はMVOP 10例、Rastelli型手術2例(導管サイズφ12 mm:2例)。S群(13例): 初回手術は新生児期にBil. PABを実施。初回手術時日齢13.5±5.8日, 体重2.56±0.45kg。初回手術後死亡なし。段階的心内修復術時の年齢1.2±0.47歳, 体重7.8±1.5kg。右室流出路再建はMVOP 1例, Rastelli型手術 12例(導管サイズ:φ14mm:7例,φ16mm:5例)。同時手術で7例にPAB部分の形成術を実施した。観察期間中の死亡はP群:6例(在院死亡3例、遠隔期死亡3例); S群:0例で、S群で優位に低かった (P<0.01, Logrank test)。観察期間中の再手術はP群生存6症例中5例(Re-RVOTR4例、肺動脈形成1例); S群: 0例で、S群で優位に低かった(P<0.01, Logrank test)。しかし、術後カテーテルインターベンション(CBI)に関してはP群生存6症例中5例, S群9例で有意差は認められなかったが、P群では術後3~5年、S群では術後1年以内での介入が多かった。【結論】PTAに対する段階的根治術は、生存率と再手術回避率を優位に改善させ、有効な術式と考えられた。しかし、CBIに関しては両群間に有意差を認められなかった。段階的心内修復術後早期の左右肺動脈狭窄の合併には注意が必要である。