The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

優秀演題

外科治療

優秀演題10(III-OEP10)
機能的単心室に対するシャント手術

Tue. Nov 24, 2020 5:00 PM - 5:30 PM Track2

座長:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:帆足 孝也(国立循環器病研究センター)

[III-OEP10-2] 左心低形成症候群とその類縁疾患に対する新生児期Norwood手術における BT shuntとRV-PA shunt症例の比較検討

小野 正道1, ブリ メルヒョ2, マイヤ ベネディクト1,2, ウォルナ マリ1, ピバ ニコル1, アンデル リザ1, ストラバッド マルティナ1, クリゾウ ジュリ1, ハガ アルフレッド3, ホラ ユルゲン1, ランゲ ルディガ2 (1.ドイツ心臓センターミュンヘン 小児心臓外科, 2.ドイツ心臓センターミュンヘン 心臓血管外科, 3.ドイツ心臓センターミュンヘン 小児循環器科)

Keywords:左心低形成症候群, ノーウッド手術, 遠隔成績

【背景】左心低形成症候群(HLHS)とその類縁疾患に対するNorwood手術の成績は近年向上してきたが、シャント手術の選択に関してはいまだ議論が残る。【目的】当院で施行した新生児期早期Norwood手術を成績をシャントの種類により比較検討した。【方法】2001年から2019年までに新生児期Norwood手術を行った321例を対象とし、シャントの種類からBT-type(158例)とRV-PA-type(163例)に分類して成績を比較検討した。【結果】Norwood手術時日齢は中央値(IQR)でBT-type 9 (7-13) 日でRV-PA-type 8 (7-11) 日より高値であった(p=0.005)。手術時体重はBT-type 3.2 (2.8-3.5) kg, RV-PA-type 3.2 (2.9-3.5) kgで両群間に有意差無し(p=0.10)。HLHSの270例の57%がRV-PA-typeを選択したのに対して類縁疾患の51例では17%にとどまった(p<0.001)。またHLHSのaortic atresia133例のうち101例(75.9%)でRV-PA-type を用いた(p<0.001)。Norwood手術時のCPB時間はBT-type 141 (110-167)分、RV-PA-type 156 (133-185)分より低値であった(p=0.02)。心停止時間は両群間に有意差はなかった(49 (40-58) vs. 49 (42-58)分)。連続321例中の早期死亡はBT-type 20例(12.7%)、RV-PA-type 18例(11.0%)で両群間に有意差無し(p=0.65)。平均経過観察期間は5.1年、最大18.8年。246例が中央値3.9 (3.2-4.9) ヶ月でBCPSを施行し、170例が中央値2.0 (1.7-2.4) 歳でTCPCに到達した。Kaplan-Meier法による生存率は3ヶ月85%、12ヶ月73%、36ヶ月68%であった。BT-typeとRV-PA-type の比較では、BCPS到達率(p=0.58)、BCPS時月齢(p=0.26)、TCPC到達率(p=0.46)、TCPC時年齢(p=0.55)、Kaplan-Meier法による生存曲線(p=0.91)において有意差を認めなかった。【結論】新生児Norwood術後の成績は早期死亡率、BCPS到達率、TCPC到達率、生存率においてBT-typeとRV-PA-typeとの間に有意な差は認められなかった。