第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

フォンタン循環

パネルディスカッション08(III-PD08)
フォンタン循環破綻

2020年11月24日(火) 08:30 〜 10:30 Track1

座長:大内 秀雄(国立循環器病研究センター 小児循環器科成人先天性心疾患科)
座長:中野 俊秀(福岡市立こども病院 心臓血管外科)

[III-PD08-7] フォンタン循環成立後の問題に対する外科治療の成期

新川 武史1, 中山 祐樹1, 寶亀 亮悟1, 片桐 絢子1, 吉田 尚司1, 石戸 美妃子2, 稲井 慶2, 新浪 博1 (1.東京女子医科大学 心臓血管外科, 2.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

キーワード:フォンタン循環, 再手術, 単心室

【背景】機能的単身室症に対する段階的フォンタン手術の治療成績がますます向上する中で、フォンタン循環成立後に発生した新たな血行動態上の問題に対して再手術を要する患者はより増加している。しかしフォンタン循環成立後の再手術に対しては、複数回の手術歴がある事、長期成績が不明な事などから躊躇される事がある。【方法】フォンタン循環成立後の再手術の成績を明らかにするために、直近15年間(2004年から現在まで)に東京女子医科大学にてフォンタン術後の再手術(フォンタン手術直後の開窓術やペースメーカー植込み術などを除く)を行った患者を対象に後方視的研究を行った。【結果】フォンタン循環確立後の再手術を105人に対し107回実施。フォンタン再手術時年齢は24.9(4.0-45.9)歳で体重は50.6(12.7-75)kg。フォンタン循環確立から再手術までの期間は18.1(0.2-36.6)年。再手術の内訳は、TCPCコンバージョン単独が72例(67%)、TCPCコンバージョンと弁手術(形成、置換、閉鎖など)の複合手術が16例(15%)、弁単独手術が13例(12%)、その他(弁下狭窄切除、上行大動脈置換、血栓摘出など)が6例(6%)。人工心肺時間は180(58-424)分、大動脈遮断時間は93(0-256)分で、抹消動静脈からのカニュレーションを37例(35%)で要した。新たなペースメーカーの植込みが42例 (39%)で行われた。ICU退室は術後5(1-72)日で、退院は術後31(3-153)日であった。早期死亡は9例(8.4%:全て2011年以前の症例)。平均5.2(0-16.2)年の追跡期間で、遠隔期死亡は1例。ペースメーカー電池交換などを除いた再手術を5例(弁下狭窄再切除1例、再弁置換1例、大腿動脈瘤修復1例、fenestration作成1例、CRT-P植込み1例)で要した。【結論】フォンタン循環確立後の再手術は、高い抹消動静脈カニュレーション率や長い人工心肺時間などリスクが高い手術と思われるが、比較的安全に実施できている。今後さらなる長期予後の検討が必要と思われる。