[III-PD09-4] ベトナムでの小児心臓血管外科臨床研修プログラム樹立に向けて-JICAプロジェクトで確立した人事交流を通して-
Keywords:若手育成, 小児心臓血管外科, ベトナム
(緒言)外科医の若手育成に関して、様々な取り組みが示されている。しかしながら小児心臓血管外科領域においては、喫緊の問題にもかかわらず、施設の集約化や出生数の減少などの社会的な要因もあり、解決への道が閉ざされている。小児心臓血管外科医が国内で十分に研修する機会を与えられていないのも事実であり、優秀な外科医を国内だけで育成することは困難であると考える。(目的)岡山大学心臓血管外科でJICAプロジェクトを通して、ベトナムでの小児心臓血管外科臨床研修プログラム樹立を考えたい。(方法)2016年9月から岡山大学心臓血管外科は、先天性心疾患外科治療のベトナム人医療スタッフによる自立的人材育成体制の確立のために、草の根パートナー型医療支援を行ってきた。これは実際に現地で手術をするのではなく、以下の方法を実践するものであった。1.日本人医療スタッフがベトナムの基幹病院において複雑心疾患外科治療に関する集中講義を実施する。2. 基幹病院のベトナム人医療スタッフを岡山大学病院へ受け入れ、研修を実施する。3. 集中講義コースや日本研修を受けた医療スタッフの技術や指導力の向上度をモニタリングする。(結果)ベトナムでは、年間1万人以上の先天性心疾患の患者が生まれていると推定されているが、手術数は年間3600件に留まっている。我々のプロジェクトで、3年間に48名の医療スタッフが当院で研修し、その研修評価のために4回、延11名の当院医療スタッフが現地の訪問を行った。その結果、一つの基幹病院であるハノイ小児病院での年間手術数は1300例を超え、死亡率も3%台に留まっている。我々との交流を通じて、自立的人材育成とともに自国の教育体制が確立した。(結語と将来展望)ベトナムとのプロジェクトで教育体制が整い、十分な手術症例の中で若手教育の可能性の道が開けたと考える。