The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

外科治療

シンポジウム06(III-S06)
外科治療「機能的単心室に対するシャント手術」

Tue. Nov 24, 2020 3:00 PM - 5:00 PM Track2

座長:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:帆足 孝也(国立循環器病研究センター)

[III-S06-2] 機能的単心室症に対する体動脈肺動脈シャント手術が房室弁逆流へ与える影響についての検討-下行大動脈の拡張期逆行性血流からの至適シャント量の推察-

日隈 智憲, 和田 侑星, 長谷川 翔大, 松島 峻介, 松久 弘典, 大嶋 義博 (兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:シャント, 房室弁逆流, 単心室症

【背景】シャント手術は心室容量負荷を増やすため、房室弁逆流を増悪させる可能性がある。当院では、心エコーによる下行大動脈の拡張期逆行性血流(dAo-RF)を指標としたシャント血流調整を行ってきた。【目的】dAo-RFを指標としたシャント血流調整が単心室症例の房室弁逆流へ及ぼす影響について、後方視的に検討する。【方法】対象は2010年以降、体動脈肺動脈シャント手術を施行した単心室症延べ58例で、疾患は三尖弁閉鎖症9例、Ebstein奇形5例、純型肺動脈閉鎖症4例、左心低形成症候群4例、房室錯位症候群23例、その他13例であった。房室弁形態は僧帽弁、三尖弁、共通房室弁がそれぞれ、23、9、26例であった。【結果】手術時の日齢は中央値42日(0~184日)で、身長53.2±3.8cm、体重3.94±0.67kg。使用した人工血管のサイズは3、3.5、4mmがそれぞれ、7、27、24例。inflowは上行大動脈1例、腕頭動脈44例、総頸動脈6例、鎖骨下動脈7例、outflowはmPA 10例、右PA 39例、左PA 9例。同時に施行した手技は中心肺動脈形成22例、Norwood17例、TAPVC修復5例、DKS吻合4例、Starnes 3例。房室弁へはmoderate以上で介入し、2例に行った。シャント血流はbandingにより調整し、手術終了時の平均dAo-RFは48.0±10.7%で術後24~28時間で51.9±13.5%、術後1週間以降では41.8±7.5%であった。房室弁逆流をnone 0、trivial 1、mild 2、moderate 3、severe 4、各間を0.5刻みで数値化し、術前後で比較すると1.31±0.84から1.45±0.81と増加を認めたが、有意な増加ではなかった。房室弁形態で比較すると、僧帽弁は全く影響を受けず、三尖弁、共通房室では増加は認めたが、有意な増加ではなく、形成を行った三尖弁は逆流の減少が得られていた。次第に逆流が増加し弁置換となった無脾症を1例認めた。【結語】術後48時間までのdAo-RFを50%程度、1週間以降を40%程度にシャント血流を調整できれば、房室弁逆流への影響は小さいと考えられた。