[III-S06-6] 初回手術に体肺動脈短絡手術を要する機能的単心室の治療戦略
Keywords:単心室, シャント, フォンタン
(背景)機能的単心室に対する体肺動脈短絡手術(シャント)は、肺血管床発育促進という役割を担う一方、術後容量負荷の増大を伴う。動脈管組織による肺動脈狭窄が肺血管床発育の妨げになることもあり、初回術式選択が重要となる。(対象と方法)2005年から2019年の間に当院及び北里大学病院で行い、初回手術にシャントを要した機能的単心室症例。ノーウッド型手術を除外した46例を後方視的に検討。(結果)観察期間は76.2±53.0ヶ月。40例が両方向性グレン手術(グレン)到達、6例がグレン前に死亡。フォンタン手術到達37例、待機3例。5年生存率は85.6%。45例が胸骨正中切開、1例が左側開胸、33例で人工心肺使用。セントラルシャント(CS)3例、ブレロックトージッヒシャント(BT)43例。シャント時平均体重3.5±0.9kg、平均グラフト径3.6±0.3mm。同時手術はTAPVC repair 2, 房室弁形成3、Starnes 1、Brock 1、PAB 3、ASD creation 5。BT43例中、術中肺血流不足に対し1例にCS、1例にRV-PAシャントを追加。シャント時肺動脈形成は22例(パッチ形成 17、動脈管組織切除後肺動脈端々吻合 5)。グレン時肺動脈形成12例、フォンタン時肺動脈形成2例。フォンタン到達までの平均総手術回数は3.3±0.7回。ステージ間追加手術を要した10例中8例はシャント時肺動脈形成を行っていなかった。シャント時に端々吻合した5例は全例フォンタンまでステージ間追加手術を要しなかった。PAIはグレン術前218±70、術後184±46、フォンタン後205±60 mm2/ m2。BNP値はグレン術前328±643、術後62±93、フォンタン後60±96 pg/ml。多変量解析では右室系単心室及びシャント時肺動脈形成を行わないことがステージ間追加手術のリスク因子であった。(結論)本症例群に対する我々の治療戦略にて概ね満足する結果が得られた。初回シャント時に積極的に肺動脈形成を行うことで、ステージ間追加手術を回避できる可能性が示唆された。