The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

川崎病

シンポジウム07(III-S07)
川崎病「新しい日本のガイドラインが目指すもの」

Tue. Nov 24, 2020 8:30 AM - 11:00 AM Track3

座長:髙橋 啓(東邦大学医療センター大橋病院 病理診断科)
座長:小林 徹(国立成育医療研究センター 臨床研究センター企画運営部)

[III-S07-3] 川崎病遠隔期治療ガイドライン改定のポイント

深澤 隆治 (日本医科大学小児科)

Keywords:川崎病, ガイドライン, 遠隔期

川崎病が最初に報告されて以来50年以上が経過し、成人となった川崎病既往者は総川崎病既往者の約半数を超える時代となっている。何らかの心臓血管後遺症をもって生活している成人は1~2万人はいると推計され、そのほとんどが大なり小なり何らかの冠動脈イベントリスクを抱えて生活している。本ガイドラインはこのような川崎病心臓血管後遺症をもつ症例の遠隔期管理のためのガイドラインとして日本循環器学会を中心に発行されてきた。2013年の改定以来7年が経過し、この間心臓血管後遺症についての定義や管理に様々な変化がもたらされてた。特に2017年に発表された米国心臓病学会(AHA)のガイドラインでは、冠動脈瘤の定義にZスコアが導入され、子どもの体格に合わせた冠動脈瘤の診断ができるようになる一方、Zスコアにより治療の層別化も行われるようになった。今回のガイドライン改訂では、冠動脈瘤の診断および治療の層別化にZスコアを導入することとし、加えてこれまでの瘤の絶対値による定義も暫定的に残すことで医療現場が混乱しないよう配慮した。また、小児から成人に医療管理を移行するうえでAYA(Adolescent and Young Adult)世代についての管理・指導が大切であるとの観点から、「ライフステージに応じた経過観察」の章を設け、移行における問題点を整理した。また、読者の便宜を考慮し、各章の巻頭にそれぞれの章のまとめとエビデンスを提示し、巻末にはこれから必要なエビデンスを挙げ、今後臨床研究を行う上で参考となるように配慮した。これらの大きな変更点とその他細かい変更点、および本ガイドラインの目標するところについて今回のシンポジウムで解説・討論を行いたい。