The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

川崎病

シンポジウム07(III-S07)
川崎病「新しい日本のガイドラインが目指すもの」

Tue. Nov 24, 2020 8:30 AM - 11:00 AM Track3

座長:髙橋 啓(東邦大学医療センター大橋病院 病理診断科)
座長:小林 徹(国立成育医療研究センター 臨床研究センター企画運営部)

[III-S07-4] 川崎病冠動脈障害に対するステント治療に関する考察

津田 悦子 (国立循環器病研究センター)

Keywords:川崎病, 経皮的冠動脈形成術, 冠動脈ステント

(背景)冠動脈障害を有していても無症状であった川崎病既往患者が40-50歳代となり、急性冠症候群 (ACS)を発症し、経皮的冠動脈形成術(PCI)を受ける機会が増加してきた。粥状硬化によるACSでは、Primary stent治療が一般的であるが、最近stent free PCIも選択肢の1つとして考えられつつある。川崎病冠動脈障害の患者におけるステント留置術については、必ずしもコンセンサスが得られているわけではない。(目的)川崎病冠動脈障害に対するステント留置後の転帰を明らかにする。(方法)1997年から2019年までにステント治療が施行された文献報告33症例(34枝 Primary stent 7、 待機的PCI 14、慢性完全閉塞9、Covered stent 4)について、その転帰について検討した。(結果)施行時年齢は、5-48歳 (中央値17歳)で、標的血管はLAD 18 RCA 13 LCX 1 LMT1であった。ACSに対してPrimary stent は7例に施行され、遠隔期に3例に冠動脈バイパス術(CABG)、1例にre-PCIが施行されていた。待機的PCIでのstent留置は14例で、遠隔期に2例にCABGが、1例にre-PCI、1例に心臓移植が施行されていた。慢性完全閉塞(CTO)に対して9枝に施行され、遠隔期にre-PCIが2枝に施行されていた。Covered stent は4例に施行され、遠隔期閉塞2例、開存2例であった。遠隔期の冠動脈造影は28枝に施行され、adverse effectは19枝(68%)に見られた。完全閉塞9枝、再狭窄10枝であった。ステント留置後に見られた新生瘤は7例 (37%)に合併しており、薬剤溶出ステントに多く見られた。ステントの開存は1年以内7枝、5年以上開存の報告は1枝であった。(考察)報告症例数は少数で限られるが、ステント留置術は必ずしも良好なものではないことが推察される。この患者群の対象年齢は若年であるため、標的血管の長期的な開存が必要となる。ステント留置の選択については熟考すべきである。