[III-S09-4] 埼玉医科大学での試み 小児循環器科の立場
Keywords:成人先天性心疾患, ACHD, 移行医療
成人先天性心疾患(ACHD)患者数は年々増加し、小児患者数を越え、国内にはすでに50万人以上存在し、さらに1万人/年の割合で増加する状況である.成人期の問題への対応のみならず、これらの膨大な患者数は既に小児循環器医のキャパシティを超えていることからも成人循環器内科医への患者の移行が必要である.しかし、このACHDの移行には、医療者側、施設側、患者側にそれぞれ問題があり、模索が続いているというのが実際の状況である.当院は、2007年に開設した施設で主体は近隣の埼玉医科大学本院から小児心臓診療部門を移行した.現在、ACHDとして外来フォローしている患者は、1. 最初から埼玉医大グループで診断され、成人となった患者. 2. 他院で小児期に診断、受診していたが、転居等で当院に紹介となった患者. 3. 他院で小児期に診断受診していたが、何らかの理由で中断となった患者. 4. CHD自体も未診断で新たに心臓血管症状を訴えCHDの診断に至った患者に大きく分けられる.当院のACHD患者の比率として1,2が主体であり、小児科医が担当している.しかし、ACHD外来を開設、3,4が増加傾向となり、地域の成人内科から新たに症状を訴えるようになった3,4の患者が成人循環器内科に紹介されるようになってきている.ACHDの成人移行医療は各地で始まっているが、その進行度は、地域性や施設の特性・数、地域との連携性、地域の成人内科医や循環器内科医との共通理解、そして取り組んできた年数によって全く異なる状況がある.結果的に、既に形ができている地域、まだ形を模索している地域、まったく始まっていない地域に分かれると推測される.当施設は、まだ形を模索している地域であるが、その現状と問題点について提示し、議論したい.