[III-S09-6] 当院を含む神奈川県における成人移行の問題点とSelf care確立のための発達評価の役割
Keywords:成人移行, 発達検査, 単心室
【背景】成人移行では医学的転科、Self careの確立、社会的問題の解決が重要となる。成人先天性心疾患専門医制度の導入等を含め、制度は整いつつある。当院ではフォンタン症例を中心に知能検査に加え適応評価であるVineland適応行動尺度を施行している。【目的】1、当院の現状から、神奈川県の移行の問題点を明らかにする。2、Self care獲得に向けた発達検査の位置づけを明らかにする。【対象と方法】2018年までの18歳以上外来患者数、移行状況、未移行群を評価し、神奈川県の移行の問題点を考察する。知能検査とVinelandを行った115例の結果からSelf careの対策を考察する。【結果】1、18歳以上外来受診者数は2016年464人、2017年394人、2018年342人であった。2018年中の移行終了患者は226人(66%)、未移行は116人(34%)、2心室疾患の移行先の23%が県外に対し、単心室は73%であった。30歳以上は31人で移行済24人(77%)未移行7人(23%)、未移行例は根治手術不能例、重度発達障害を有した。2、発達検査では全検査で正常68人(59.1%)、境界域(24.3%)、遅滞(16.5%)、Vineland正常60人(52.2%)、境界域33人(28.7%)、遅滞22人(19.1%)といずれも40%以上で問題を有していた。発達検査正常の68人のうちVineland正常46人(67.6%)、 境界21人(30.9%)、異常1人(1.5%)であった。【考察】成人患者数は30歳以上を含め減少傾向にある。移行制度の開始に伴い成人施設の理解が進んでいるものと思われる。一方単心室の移行は県外に頼らざるを得ない状態で早期の改善が求められる。フォンタン症例に限られた評価だが、患者の40%は発達適応に支障を有し、Self careの確立には理解度に応じたプログラムの作成が必要と考える。また知能検査が正常でも適応困難症例が30%に認められ、合わせてフォローしていく必要があり、看護師、臨床心理師、精神科医等を含めたチームでのプログラム作成を模索中である